円上昇、ウクライナ緊迫化でリスク回避圧力-対ドル101円後半

東京外国為替市場では円が主要16通 貨に対して全面高となった。中国経済やウクライナ情勢をめぐる不透明 感を背景に円買い圧力がかかった。

午後3時52分現在のドル・円相場は1ドル=101円81銭付近。円は 朝方に102円20銭を付けた後にじりじりと水準を切り上げ、午前の取引 で102円ちょうどを突破。午後には上げ幅を拡大し、一時は101円56銭 と17日以来の円高値を付けた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラ テジストは、リスク回避の動きを背景に「日本株売り、円買い」の展開 になったとしている。ウクライナ情勢などを中心に「週末の地政学的リ スク」が意識されたほか、中国では来週に全国人民代表大会(全人代、 国会に相当)を控えており、「何が出てくるかよくわからないというこ とで、全般的に手じまい売りが出やすい」と説明した。

中国外国為替取引システム(CFETS)によると、人民元は上海 市場で一時0.85%安となり、10カ月ぶり安値の1ドル=6.1808元を付け た。下落率は2007年にさかのぼるCFETSのデータで最大。

ウクライナ情勢緊迫化

ウクライナでは、南部クリミア自治共和国で親ロシア派の武装集団 が議会を占拠した。ロシアのインタファクス通信は27日までに、ロシア の戦闘機が警戒態勢に入ったと伝えている。これに対し、米国のヘーゲ ル国防長官は27日、ロシア政府に、ウクライナ国境付近での陸・空軍の 軍事演習で「判断ミス」を犯すことのないよう警告を発した。

そうした中、ロシアのルーブルは27日の取引で、過去最安値を更 新。また、同国株の指標となるMICEX指数も1月6日以来の大幅安 となっている。

27日の海外市場ではユーロ売りも進んだ。対ドルでは一時1ユーロ =1.3643ドルと、13日以来、対円では一時1ユーロ=138円79銭と、12 日以来の安値をそれぞれ付けた。

バークレイズのFXストラテジスト、逆井雄紀氏(ニューヨーク在 勤)は、ウクライナの経済規模はそれほど大きくないので、世界経済全 体に影響を与えるようなことはないとした上で、「欧米とロシアとの偶 発的な衝突の危険性といったテールリスクをマーケットが多少警戒して いる」と分析。欧州通貨の弱含みにつながっていると説明している。

一方、日本でこの日に発表された1月の全国消費者物価指数(生鮮 食品を除くコアCPI)は、前年比1.3%上昇と、ブルームバーグ・ニ ュースがまとめたエコノミスト予想と一致。8カ月連続の上昇となっ た。一方、1月の鉱工業生産指数は前月比で4.0%上昇と、市場予想 の2.8%上昇を上回る伸びとなった。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、日本の消費者物 価指数が、市場の予想通りの結果となったことで、早期の追加緩和観測 がやや後退する可能性があり、円売りが進みにくい面もあると言う。

欧米指標を見極め

27日には、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が上院 銀行委員会で証言した。同議長は、資産購入の縮小を継続する可能性が 高いと述べた上で、最近の経済の弱さが一時的であるのかどうかを見極 めるために金融政策当局者は経済統計を注視しているとした。

米国で27日に発表された1月の製造業耐久財受注は前月比1%減だ った。エコノミスト予想では1.7%減(中央値)が見込まれていた。設 備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)受注 は前月比でプラスとなった。この日の米国時間には、昨年10-12月の国 内総生産(GDP、改定値)などの経済指標が発表される。

バークレイズの逆井氏は、イエレン議長の議会証言でも緩和縮小の スピードを現段階で変えるためのハードルは高いということを言ってい たので、マーケットはそのように受け止めていると指摘。その上で、 「本当に弱い数字が出れば、マーケットも織り込むと思う」とし、「圧 力としてはサプライズがネガティブに出れば、ドルが下振れするリスク も多少ある」とみている。

また、来週に欧州中央銀行(ECB)の政策決定会合の開催を控え ているドラギ総裁は27日のフランクフルトでの講演で、ユーロ圏をデフ レから守る強い決意が中銀当局にあると述べた。ドイツ連邦統計局が27 日に発表した2月のCPIは欧州連合(EU)基準で前年比1%上昇と エコノミスト予想の1.1%上昇を下回った。この日の欧州時間にはユー ロ圏のCPIが発表される。

--取材協力:大塚美佳. Editors: 崎浜秀磨, 山中英典

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