【日本株週間展望】ボックス、中国警戒と期末需給-米株支え

3月1週(3-7日)の日本株は、 日経平均株価が1万4000円台後半を中心としたボックス圏で推移しそう だ。海外では中国経済や人民元の先行き、ウクライナ情勢に不透明感が 強まっている上、国内では年度末の3月に入り、機関投資家からの決算 対策売り、駆け込みのエクイティファイナンスが警戒される。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投資情報部長、藤戸則弘氏 は「株価の振れよりも今は売買代金の縮小に注目すべき。2兆円割れが 続いたのは、上を買っていく投資家が不在のため」と言う。裁定買い残 の減少、海外勢の大幅な売り越し一服で需給環境は改善しているが、着 実な買い手は国内年金、投資信託など下値を買う投資家だと指摘。ま た、直近の内需株の下落に触れ、年度末と4月の消費税増税後を見据 え、「大きな資金のリバランスが出始めた」と見る。

2月最終週(24-28日)の日経平均は週間で0.2%安の1万4841円 7銭と反落。欧米株高の流れやウクライナ暫定政府への国際通貨基金 (IMF)の支援姿勢などを受け、25日には終値でおよそ1カ月ぶりに 1万5000円に乗せたが、その後は伸び悩んだ。業種別では精密機器や電 機、ゴム製品など輸出関連が上げた半面、不動産や保険、銀行、小売な ど内需関連株の下げが大きかった。

安倍政権に対する政策期待の後退などもあり、ことしに入ってから の日本株は低迷中。ただ、日経平均の今年度パフォーマンスは2月末ま でで2割上昇と、決算対策が必要な国内外の機関投資家からすれば、売 却益の出る業種・銘柄は多い。アベノミクス相場が始まった2012年11月 時点と、ことし1月の国内投信の株式業種別組み入れ比率を投資信託協 会のデータで比較すると、増加率が多い順に情報・通信、サービス、不 動産、小売。減少率上位は電機、卸売、化学、医薬品で、「3本の矢」 でデフレ脱却を期待する内需志向が顕著だった。

実態見えぬ「影」、全人代開幕

銀行以外の貸し付けなど金融当局の監視・監督を受けない取引、い わゆるシャドーバンキング(影の銀行)問題に揺れる中国では、経済減 速への懸念も加わり株式、通貨が不安定な動きを見せている。上海総合 指数は25日におよそ5カ月ぶりの急落を演じ、新興企業市場の創業板指 数(チャイネクスト)は25-27日の3日間で8%以上下げた。人民元の 対ドル相場は6.18元を超え、昨年4月以来の安値圏だ。

リーマン・ショック後の政策出動で膨らんだ余剰マネーの流入で理 財商品、信託商品を合わせたシャドーバンキングの規模は10年ごろから 拡大、市場では13年末時点で20兆-30兆元と推計されている。2月下旬 に開かれた20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議の声明で も、そのリスクに言及。オーストラリア・ニュージーランド銀行 (ANZ)のストラテジスト、パトリック・ペレットグリーン氏は「世 界的な金融危機前の米国と中国の状況が似てきている。シャドーバンキ ングはサブプライムだ」と懸念を隠さない。

3月5日からは日本の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が 開幕する。SMBC日興証券のエコノミスト、肖敏捷氏は理財商品や不 動産市場、人民元、大気汚染などの課題に内外が関心を強めており、 「注目度が例年以上に高まっている」と指摘。1月の主要都市新築住宅 価格の伸びが鈍った点に言及し、バブルつぶしへの本気度を探る上で李 克強首相の政府活動報告は重要な試金石、という。

三菱Uモルガン証の藤戸氏は、「堅調な欧米株と対極にあるのが、 明らかにマネーが逃げている中国。実体経済の関係で見れば中国の影響 が大きく、株安と人民元安の共存は日本株のリスク」と警戒する。

株式需給面では、年初からの少額投資非課税制度(NISA)の始 動とともに、日本株への買い姿勢を強めてきた個人投資家の動きが鈍っ てきた。東京証券取引所によると、2月3週の投資部門別売買動向で個 人の売越額がおよそ3000億円となり、ことしに入り初めて売り越した。 昨年末の証券優遇税制終了を前にした大量の売却資金はなおマネー・リ ザーブ・ファンド(MRF)に滞留、信用取引の評価損益率もやや改善 しているが、アベノミクス相場を主導してきた海外投資家の退潮ととも に、個人の姿勢変化は気掛かりだ。

エクイティファイナンス、米国株

明確な買い主体に乏しい中、企業による年度末を前にした駆け込み のエクイティファイナンスも相場の重しになりやすい。直近でも牛丼な ど外食チェーンのゼンショーホールディングスが公募増資などで302億 円、電池メーカーのジーエス・ユアサコーポレーションが海外市場での 転換社債型新株予約権付社債(CB)で250億円、半導体検査装置のア ドバンテストがCBで300億円の調達を発表した。

一方、27日にS&P500種株価指数が1カ月半ぶりに過去最高値を 更新するなど、米国株の堅調持続は国際分散投資を行う向きの投資余 力、心理面を通じ日本株の下支え要因になりそうだ。バークレイズ証券 の調べでは、TOPIXとS&P500の相関係数は0.8付近とこれ以上高 くなりようがない水準まで上がっており、日本独自の変動要因がほぼ無 視される中、「米国株がさらに上値を追うのか、二番天井を付けるのか は日本株にとっても重要」とストラテジストの北野一氏は指摘する。

3月1週の米国では、3日に供給管理協会(ISM)の製造業景況 指数、5日に地区連銀報告(ベージュブック)、7日に雇用統計など重 要統計の発表が相次ぐ。寒波の影響が残る中で「良くも悪くも天候要因 とし、マクロ経済の評価はペンディング状態」と三菱Uモルガン証の藤 戸氏。急速に米国株が崩れるリスクは、今のところ小さいとみられる。

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