暖冬で国内灯油需要不振、異例の冬期輸出-大雪の影響一時的

一時的な大雪があったものの、札幌 や東京、大阪など各地の12-1月の平均気温が前年の水準を上回ってお り、灯油の販売が低迷している。石油元売り各社は、需給バランスを調 整するため冬期としては異例の大規模な灯油輸出を行い、その結果アジ アの市況圧迫につながった。

石油連盟のデータによると、12月15日から2月15日まで9週間の灯 油輸出量は約30万キロリットル。これは「VLCC」と呼ばれる原油な どを運搬する大型タンカー1隻分の積載量に相当する。経済産業省は月 ごとの石油製品の輸出入量などの統計を発表しているが、同省がウェブ サイト上で統計を掲載している1989年以降では最大の冬期(11-2月) の灯油輸出となる。

石油連盟の木村康会長(JX日鉱日石エネルギー会長)は20日の会 見で、1月の灯油販売量は前年同月比8%減で、2月も「前半の寒さが あっても最終的には前年割れになると思う」と述べ、同3%程度減少す るとの見通しを示した。

木村氏は天候要因だけでなく、家庭で使用される暖房器具が従来の 灯油を使うものから電気やガスを使ったものにシフトしているほか、灯 油価格の上昇も節約の動きを加速させていると述べ、「なかなか前年の 水準を超えないのが実態」と指摘した。

気象庁によると、昨年12月の東京の平均気温は8.3度で前の年の12 月より1度高かった。1月に入っても暖冬傾向が続き前年同月を0.8度 上回った。

異常事態

FEアソシエイツの石油エコノミスト、藤沢治氏は「灯油の輸出は 昨年11月から始まっていて、需要期にこれほど大量の灯油が輸出される のは異常事態」と話した。日本は冬期の灯油輸入国として市場で重要な 位置を占めており、韓国の石油会社などが日本向けに輸出している。

藤沢氏によると、アジアの石油市場では日本が一般的に日量5万バ レル程度の灯油を冬期に輸入することを想定しているという。これを下 回るようであれば「韓国の石油各社が影響を受ける」と述べた。しか し、経済産業省の統計によると、11-12月の灯油輸入量は同4万1100バ レル。12月の灯油販売量は前年同月比14%減少した。

灯油の需要低迷を反映し、アジアの石油取引の中心であるシンガポ ールの灯油(ケロシン)のスワップ価格と軽油スワップ価格の格差は下 落基調。ロンドンのブローカーPVMオイル・アソシエーツのデータに よると、通常は灯油価格が軽油価格を上回っているが、1月16日には価 格差が逆転。石油市場で「リグレード」とも呼ばれる灯油と軽油の価格 差は1バレル当たりマイナス80セントと、昨年7月以来の低水準となっ た。

航空機用のジェット燃料は灯油と成分が近く、アジアの航空各社は ジェット燃料調達時にシンガポールの灯油価格を指標として用いる。そ のため、灯油が軽油に比べて割安となっていることは、旅客が順調に伸 びている航空業界にとっては朗報となる。

まもなく灯油の需要期が終わることや、軽油の需要がアジアや中東 地域で旺盛なことから、今後は灯油の価格がさらに軽油に対して割安に なると見込まれている。藤沢氏は、夏の灯油の不需要期に向けて価格差 が「マイナス2ドルになる可能性もある」との見通しを示した。

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