【コラム】肩身の狭い円、そろそろ隣人の迷惑か-Jオニール

通貨というものには時にありがたく ない役が回ってくる。弱くなってくれと頼まれる。弱いのが良いことに なるのだ。しかし弱過ぎるといけない。弱過ぎると隣人に迷惑がられた り、インフレを引き起こしたりする。下げが急過ぎれば今度は危機だと 騒がれる。本当にどうすれば良いのか。

長い間、世界の投資家は円安が望ましいと考えていた。円が下がる と日本株は値上がりし、円が上がると株は下落した。

なぜ円安が日本にとって良く、ペソ安、ルピア安がアルゼンチンと インドネシアにとっては悪いのか。これを考えるにはより幅広い金融環 境、つまり経済活動と金利、株式相場、為替相場をそれぞれの重要性を 考慮した上で組み合わせて眺める必要がある。

例えば、マクロ経済的な刺激が必要な国にとって、通貨安はありが たい。世界市場での競争力が弱い場合も同様だ。しかし内需と外需が既 に適正である場合は、刺激は不要であり、通貨安は輸入物価上昇を通し てインフレを引き起こす可能性が高い。

さて、2014年に入ってからの動きをみると、ニッポン株式会社はち ょっと困った立場になっているのではないだろうか。私の見解では、円 が12年の終わりごろから下落を続けているのは近年で最も容易に予想で きた展開の一つだった。なぜ予想が容易だったかと言えば、さまざまな 要素が見事に調和していたからだ。

日本の政策当局は景気刺激と、誰もが過大評価と認める円相場の修 正を決意していた。外国政府も総じてこれを望ましいと考えていた。し かし今は違う。先進国を中心に多くの国はまだ、インフレよりはデフレ のリスクに直面している。どの政府も自国の輸出業者の競争力をこれ以 上弱めたくない。円が本当に馬鹿げたほど高過ぎた時には、日本の競争 力回復は容認できた。しかし事態は変わった。

中国政府の考え方も考慮しなくてはならない。中国は最近まで、景 気が減速しても人民元を上昇させてきた。しかしこの忍耐にも限界があ る。円がさらに下落することで日本の内需が喚起されるのなら、中国の 輸出業者にとっても都合が良い。しかし日本は消費税率を引き上げて財 政政策を引き締める。円安が世界での日本の輸出のシェアを高めるだけ に終わるならば、中国にとって望ましくはない。中国ばかりでなく米国 も欧州連合(EU)もドイツも、歓迎しないだろう。(ジム・オニー ル)

(ジム・オニール氏はゴールドマン・サックス・アセット・マネジメン トの元会長で、ブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラ ムの内容は同氏個人の見解です)

原題:Japan’s Partners Have Had Enough of the Weaker Yen: Jim O’Neill(抜粋)

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