【コラム】アンネの日記と米バージニア州の教科書-ペセック

私は学校で「アンネの日記」を何回 も読まされた。ナチスの手を逃れるため隠れ家生活を送った15歳の少女 の日記は、世界中の青少年の必読書となっている。ショックなことに最 近、東京都内の図書館で少なくとも282冊のアンネの日記が破壊行為に 遭った。

別の話になるが、南九州市は今月、第2次世界大戦中の特攻隊員の 遺書を世界記録遺産とすることを国連に求めた。アンネの日記などと同 様の登録を求めるこの要請は直ちに中国から非難を浴びたが、日本の右 翼を奮起させた。

アンネの日記の損壊の裏に右翼がいるという証拠は何もないが、特 攻隊員の書簡をめぐる動きと全く無関係とは言えないように思われる。 国家主義的な安倍晋三首相の再登板が、どの程度の影響を与えているの かが気になるところだ。国民の多くは同首相の経済政策に注目している が、首相のもう一つのアジェンダは右翼を喜ばせている。

もちろん、アンネの日記への攻撃が安倍首相のせいだという気は毛 頭ないが、首相が密かに自分たちを支持していると考えて過激派が暴挙 に及びやすい雰囲気になっているかもしれない。

靖国神社を参拝した安倍首相とその同調者らは、日本が戦死者を敬 ったり平和憲法の改正をしてもよいはずだと主張する際、日本がずっと 世界の模範市民だった点を強調する。確かに、戦後68年にわたって日本 は平和で寛大、できる範囲で協力的な国だった。しかし安倍首相の政策 によって、日本はこの間に培った「ソフトパワー」を失う恐れもある。

米バージニア州リッチモンドとカリフォルニア州グレンデールで最 近起こった出来事が、日本の暗い未来を示唆している。バージニア州議 会は今月6日、教科書での日本海の表記に「東海」を付け加える法案を 可決した。増える韓国系市民がその影響力を行使したものだが、これに 日本は激怒した。カリフォルニア州ではアジア系米国人の団体がロサン ゼルス近郊に「従軍慰安婦」像を建てた。これにも日本は抗議したが効 果なし。中国系米国人が日本領事館の前でデモをする回数も増えてい る。

今後も韓国と中国は世界中で反日的な動きを強化するだろう。日本 国民が安倍首相に委ねたのは経済再生だ。首相は本業に立ち返る必要が ある。(ウィリアム・ペセック)

(ペセック氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。コラ ムの内容は同氏自身の見解です)

原題:Anne Frank’s Disrespect in Japan: William Pesek (Update) (抜粋)

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