ドル・円が3日ぶり高値、米景気懸念の緩和で-一時102円61銭

東京外国為替市場では、ドル・円相 場が3営業日ぶりの高値を付けた。足元の米経済指標の不振は天候要因 の影響が大きいとの見方が浸透する中、日米の株高を背景にリスク選好 の円売りが後押しされる格好となった。

午後3時45分現在のドル・円相場は1ドル=102円50銭付近。この 日は102円台前半で日本時間朝の取引を迎え、日本株が反発して寄り付 くと、円売りが先行。午後に日経平均株価の上げ幅が400円を超える と、一時は102円61銭までドル高・円安が進んだ。

みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、中長期的な見 通しの中では、引き続き米景気の緩やかな回復といった楽観的な見方が 強いと指摘。その上で、米株は高値をうかがう展開で、国債利回りも上 昇しており、「金融市場の雰囲気としてはややリスクオンになってい る」と話す。

日本銀行の黒田東彦総裁はこの日、衆院財務金融委員会で答弁し、 2%の物価目標の実現に向けた道筋はまだ半ばだとし、出口議論をする のは時期尚早と述べた。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司ディレクターは、 今週の黒田総裁の会見から日銀の追加緩和期待が高まっており、きょう の国会答弁の内容も、「早期緩和への期待を失望させるものではない」 と指摘。米国は粛々と緩和策を縮小していくので、日米間で「お金の量 の差はどんどん広がる」とし、円の先安観は根強いとしている。

日銀は18日の金融政策決定会合で、「成長基盤強化を支援するため の資金供給」などの拡充を決定。黒田総裁は同日の定例記者会見で、金 融政策運営について、「リスクが顕在化するといったことがあれば、ち ゅうちょなく現在の量的・質的金融緩和の調整を行うことになろうが、 今のところ順調に経済は推移しているし、経済見通しに沿って動いてい る」と述べていた。

日米景気見通しに格差

20日に発表された米経済指標は、市場予想比で弱い内容が目立った が、同日の米株式相場は主要3株価指数がそろって反発した。米国債相 場は続落し、10年債利回りは1ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)上昇の2.75%。この日の東京株式相場は、日経平均株価が大 幅反発し、前日比416円49銭(2.9%)高の1万4865円67銭で引けた。

三井住友銀行市場営業部ニューヨークトレーディンググループのグ ループ長、柳谷政人氏(ニューヨーク在勤)は、「米経済に期待する見 方は長い目で見て、変わっていない」とし、「悪い方に乗っていないと いうのは、これは皆ゆくゆくは回復すると思っている」と指摘。その上 で、「天候要因などもあるので、そのタイミングを見極めているという 状況なのではないか」と言い、「長い目ではまだドル高」とみている。

主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポ ット指数は20日、一時1021.98と、13日以来の水準まで上昇し、この日 の東京時間も1021台を維持している。ブルームバーグの消費者信頼感に 関する月間調査では、米経済が間違った方向に向かっているとの回答の 割合は2月に30%と、2012年5月以来の低水準となった。

みずほ証の鈴木氏は、「年末までの時間軸の中では、米景気の緩や かな回復が見込まれる一方で、日本経済は消費増税の悪影響が懸念され る上、金融政策の方向性も、緩和の縮小と拡大という対比が鮮明になっ ている」と話す。

一方、米国の量的緩和策の縮小が新興国市場に与える影響が懸念さ れる中、22、23日には、シドニーで20カ国・地域(G20)財務相・中央 銀行総裁会議が開催される。共同声明の起草にかかわっているG20政府 当局者が匿名を条件に明らかにしたところによると、声明の草案には、 金融政策の慎重な調整と明瞭なコミュニケーションを求める方針が盛り 込まれる可能性がある。

鈴木氏は、「新興国市場の動揺は世界経済の大きなリスクになって きている」とし、今回のG20は、新興国市場に対する不安を解消する方 向に向いていると指摘している。

--取材協力:大塚美佳. Editors: 青木 勝, 崎浜秀磨

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