【コラム】中国の謎の統計でイタリアが首に-W・ペセック

中国は思想統制のための弾圧で次の 標的を見つけた。エコノミストだ。

中国共産党によるインターネット検閲や外国メディアへの威嚇はよ く知られている。しかし今度は、中国経済がバブルの破裂など招かずに 7%成長を永久に続けられという公式見解に疑問を呈する海外のエコノ ミストに目を付けた。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、 海外エコノミストらをブラックリストに載せ、その評判をおとしめるた めの新たな活動について詳細に報じた。世界の銀行は中国政府を怒らせ ないようにと、自発的に検閲を始めることだろう。

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者 (CEO)がスキャンダルになる恐れがあるにもかかわらず、強いコネ を持つ中国人子弟を採用するとしたら、中国当局を怒らせるような行為 を自行のエコノミストに許すことなど考えられない。ストラテジストら が、シャドーバンキング(影の銀行)業界について警告するだけでも当 局を怒らせるのに十分だろう。中国当局が発表する輸出や不良債権、大 気汚染などさまざまなデータへの懐疑的な発言は、銀行トップが封じる ということになるのだろうか。メディアでそれが起きているなら、銀行 の取締役会ももちろんそうするだろう。

世界2位の規模の経済がますますブラックボックス化していくのは 大きな問題だ。世界はどうしたらいいのだろうか。私に言わせれば、こ こは主要7カ国(G7)の出番だ。米国、日本、ドイツ、フランス、英 国、イタリア、カナダが昔ながらの枠組みに閉じこもるのをやめて、中 国をこの究極の会員制クラブに迎え入れるべき時だ。

世界一

中国は最大の貿易国。外貨準備高も大気汚染も世界一で、地政学的 な力を急激に強めている。それにもかかわらず、世界には中国の政府高 官らと同じテーブルに着き、実際に何が起きているのかについて情報を 引き出す定期的な場といったものがない。他国の財務相が、中国の楼継 偉財政相から改革の進展具合や、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総 裁から不良債権危機の封じ込めのために講じている措置について、聞き 出せることが必要だ。

こうした対話は2国間で時々行われるほか定例のG20もあるが、 G20は中国の真実を引き出すには力不足に見える。G20にはブラジルや 南アフリカ共和国、インドネシアなど、中国に情報開示を迫って報復さ れるのは困ると懸念するかもしれない国も含まれている。

情報収集と調整の場としてはG7の方が適している。もちろん、こ れには幾つか問題がある。その一つは、G7のうち1カ国は去る必要が あるということだ。それはイタリアだ。イタリアは既に欧州という大き なグループの一員で、良くも悪しくも単一の通貨と中央銀行に縛られて いる。カナダの方が経済規模は小さいかもしれないが、近年の危機を回 避してきた経済運営は金融界からイタリアよりも信頼されている。

見えにくい姿

もう一つの問題は、中国が参加を辞退するかもしれないということ だ。中国は世界の金融システムにおける大株主という役割を好むが、全 面的な当事者にはなりたくない。中国は高まる影響力を今すぐ振るいた いが、責任を負うのは先延ばししたい。G7は強く迫るべきだろう。中 国経済の重要性はその不透明性と共に増している。

スタンダードチャータードのエコノミスト、スティーブン・グリー ン氏は、中国の信用システムを「巨大なブラックボックス」と形容す る。パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の ビル・グロース氏も、中国経済を「怪しげな肉(何の肉か分からない 肉)」と呼んだ。

中国政府に気を遣えとエコノミストが圧力をかけられることになれ ば、透明性はさらに低下する。視界不良の状況から中国を引き出せるの はG7だ。それには丁重にお迎えするしか方法がない。 (ウィリアム・ペセック)

(ペセック氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。コラムの 内容は同氏自身の見解です)

原題:China’s Mystery GDP Should Have G-7 Firing Italy: William Pesek(抜粋)

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