ウォール街戦々恐々、SEC調査で-中国有力者の子女採用

JPモルガン・チェースが中国の有 力者の子女らを採用したことが贈賄に当たらないかについての刑事捜査 を皮切りに、ウォール街の金融機関のアジアにおける採用に向けられる 精査の目が厳しくなってきた。

米証券取引委員会(SEC)はグローバルに事業を展開する複数の 投資銀行に、採用慣行について情報提出を求めたと、SECからの文書 について知る複数の関係者が明らかにしている。過去5年の中国企業に よる海外での株式募集・売り出し関連業務で、高い実績をあげているゴ ールドマン・サックス・グループとモルガン・スタンレーが調査の対象 に含まれていると、関係者2人が匿名を条件に述べた。

調査の結果、ゴールドマンとモルガン・スタンレーが中国の4大国 有企業の幹部の子女らを採用していることが分かった。4大国有企業と その子会社が2社に相当規模の業務を委託したことも明らかになった。

中国企業の海外での株式募集等業務で2013年のシェア1位だったゴ ールドマンは、中国石油化工集団(SINOPECグループ)と新華人 寿保険の上級幹部の子女を採用した。モルガン・スタンレーがアナリス トとして採用した人物の父親は、中国国薬控股(シノファーム・グルー プ)の幹部であると同時に中国建材の会長を務めている。当局にとって 難しいのはこうした関係が偶然なのか、何かの代価なのかを見極めるこ とだ。

ロサンゼルスの法律事務所ロック・ロードの弁護士、マイケルF・ パーリス氏は「影響力のある一族の息子や娘を採用するのは米国でも中 国でも違法ではない。違法なのは業務を得ることを前提として採用した 場合だ」と話した。

採用の意図

調査が続く傍らで、ウォール街の各社は中国企業からの業務受託に しのぎを削り続けている。今年は中国企業による海外での株式募集が急 増するとみられており、世界にネットワークを持つウォール街勢はこれ を手掛けるのに有利な立場にある。

問題は企業が業務を獲得するために、あるいは受託の返礼として中 国の有力者の子女らを採用したかどうかであり、1977年の米連邦海外腐 敗行為防止法(FCPA)に違反したかどうかだ。同法は海外の当局者 への金品や便宜の供与を禁じている。パーリス氏によれば、中国の国有 企業の経営幹部は同法の下で当局者と見なされる。彼らからの見返りを 求めて家族を採用したり、その他の便宜を図れば贈賄になる。同氏を含 め弁護士らに言わせれば、違法かどうかは結局、意図の問題であり、意 図を証明するのは難しい。

モルガン・スタンレーのジェームズ・ゴーマン最高経営責任者 (CEO)は先月、米経済専門局CNBCとのインタビューで「政府当 局者の子女を採用するのは悪いことではない」として、こうした家族に は優秀な人材が多いと述べた。ゴールドマンのロイド・ブランクファイ ンCEOは先週ブルームバーグテレビジョンの番組で、ビジネス上の利 点のために政府当局者に便宜を図るべきでないのは法律ばかりでなく常 識からも分かることだとした上で、ほとんどの企業には不正を防ぐ「手 順と規約、監視システムがある」と述べた。

250億ドル規模

ウォール街は香港とニューヨークで今年計画されている株式公開な どに目を付けているが、調査は一部の金融機関を守勢に立たせるかもし れない。JPモルガンは調査開始後に中国企業の株式案件2件から手を 引いたと、事情に詳しい関係者が明らかにしている。

バンカー2人が匿名を条件に述べたところによると、今年の中国企 業による海外市場での新規株式公開は約250億ドル(約2兆5600億円) 規模と見込まれている。昨年の206億ドルから20%以上の増加だ。ブル ームバーグのデータによれば、2013年に海外で売却された中国企業株 (大口取引や私募を含む)のうち58%が新株だった。

原題:Wall Street Girds for China Bribery Probe as Share Sales Beckon(抜粋)

--取材協力:Michael J. Moore、Matthew Monks、Fox Hu. Editors: Winnie O’Kelley, David Scheer

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