成長基盤強化の資金供給7兆円に倍増、金融政策は据え置き-日銀

日本銀行は18日開いた金融政策決定 会合で、3月末に期限が来る「成長基盤強化を支援するための資金供 給」を1年間延長し、「本則」の供給枠を従来の3.5兆円から7兆円に 拡大することを決めた。金融政策の運営方針については現状維持とする ことを決めた。いずれも全員一致。

同資金供給は「本則」と「特則」を合わせ、貸し付け残高の上限は 従来5.5兆円だった。本則以外は上限まで余裕があるが、本則の貸し付 け残高は11月時点で3.3兆円とほぼ上限いっぱい利用されていた。この ため、資金供給枠を拡大することで、金融機関の貸し出し増加を促す。 日銀は「貸出増加を支援するための資金供給」と「被災地金融機関を支 援するための資金供給」も1年間延長することを決めた。

日銀はまた、「貸出増加を支援するための資金供給」の貸出限度額 について、従来は金融機関の貸出増加額の範囲内としていたが、これを 2倍相当額に引き上げる。日銀は同資金供給について「最終的な貸付残 高は30兆円程度となると見込まれる」としている。

「成長基盤強化を支援するための資金供給」と「貸出増加を支援す るための資金供給」は、いずれも固定金利0.1%で4年間(従来は1- 3年間)の資金供給を受けられる。日銀は会合後に公表した声明で「こ うした見直しが、貸し出し増加や成長基盤の強化に向けて、金融機関の 一段と積極的な行動や企業・家計の前向きな資金需要の増加を促すこと を期待している」と表明した。

金融政策運営は現状維持

同会合では、金融政策運営について「マネタリーベースが年間約60 兆-70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」方針 を据え置いた。長期国債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産 投資信託(J-REIT)などの資産買い入れについても、従来の方針 を継続することを決定した。ブルームバーグ・ニュースがエコノミス ト34人を対象に行った事前調査では、全員が現状維持を予想していた。

景気は緩やかな回復を続けており、物価もプラス基調を続けるな ど、経済・物価情勢が見通し通りに推移していることから、日銀は当 面、4月に打ち出した量的・質的金融緩和を着実に進める構えだ。

日銀は会合後に公表した声明で、景気の現状について「緩やかな回 復を続けており、このところ消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみら れている」と指摘。先行きについても「消費税率引き上げに伴う駆け込 み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続け ていく」として、いずれも前月の判断を据え置いた。

GDPは事前予想下回る

昨年12月の消費者物価(生鮮食品を除いたコアCPI)は前年同月 比1.3%上昇と7カ月連続で上昇した。物価の着実な上昇を受けて、エ コノミストの追加緩和予想時期が消費増税直後の「4-6月」から、 「7-9月」以降が主流となりつつある。ブルームバーグの事前調査で は4-6月が9人(26%)と前回調査(33%)から減少。代わりに7- 9月が12人(35%)と前回調査(28%)を上回り最多の回答となった。

一方、17日発表された昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP) 速報値は前期比年率で1.0%増と、4四半期連続でプラス成長となった ものの、外需が全体の足を引っ張り、事前予想を大きく下回るプラス幅 にとどまった。

シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは「輸出は既往 の円安ドル高にもかかわらず、横ばい圏内での推移が続いており、アジ ア景気が精彩を欠く中、依然、はっきりとした増加は展望しにくい」と 指摘。物価の上昇が家計所得の実質購買力を低下させているためとみら れることから、「消費増税前の駆け込み需要を除けば、個人消費は勢い を欠き始めている」とした上で、「景気は既に日銀シナリオを下振れ始 めているように見受けられる」という。

木内委員は独自提案も否決

メリルリンチ証券の吉川雅幸チーフエコノミストは「輸出の回復が 緩やかな中、円安や堅調な内需を受けた輸入の高止まりから、外需の成 長寄与はマイナスが続いており、米国の本格回復が待たれる状況だ」と 指摘。金融政策については「2015年にかけて財政の景気サポートが限界 に達する中で、2回目の消費税引き上げを考慮すると、金融面からのサ ポートはなお必要とみられることなどを考えると、タイミングは微妙だ が追加策が打たれる可能性はなお高い」としている。

木内登英審議委員は18日の決定会合で、2%の物価安定目標の実現 を「中長期的に目指す」とした上で、量的・質的金融緩和を「2年間程 度の集中対応措置と位置付ける」との提案を行ったが、8対1の反対多 数で否決された。日銀は昨年4月4日の会合で、目標実現については2 年程度を念頭に置いて「できるだけ早期に」、緩和期間は、目標を安定 的に持続するために「必要な時点まで継続する」と表明した。

黒田東彦総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は3 月14日に公表される。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェ ブサイトで公表している。

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