商船三井:途上国の海洋開発に最大4000億円投資-収益の柱に

運航船舶隻数が世界最多の商船三井 は、途上国を中心とした海洋開発事業に2020年度までに最大4000億円を 投じる方針だ。エネルギー関連需要の世界的な増加を見込み、海洋開発 事業を将来的な安定収益の柱に育てる。

同社の海洋事業の責任者である橋本剛常務が17日、ブルームバー グ・ニュースのインタビューで明らかにした。橋本氏は、現在策定中 の14年度からの3カ年計画での注目点は「海洋事業への積極的な投資に なるだろう」と述べた。現在の投資の決断で利益に効果が出るのは「18 年度ごろからになる」という。

国内の大手海運各社は、コンテナ船やバルク船、タンカーなど海上 輸送事業で長年収益を上げてきた。しかし近年は海運市況の低迷が続 き、船舶供給も過剰となっていることから、従来の船舶事業だけでは利 益確保が難しくなっている。これを打破するため海運各社は事業の多角 化などに取り組んでおり、商船三井は液化天然ガス(LNG)の取り扱 いを中核に据えた海洋開発事業に注力する。

LNGの開発では、ウルグアイの浮体式貯蔵再ガス化設備 (FSRU)の洋上基地建設計画の契約締結を昨年10月に発表した。 FSRUはタンカーで運ばれてきた液体をガス化するLNG輸入のため の設備で、日本企業で手掛けているのは同社だけ。また、輸出用の浮体 式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)事業にも、三井海洋開 発などとの企業連合の形で既に5件の案件に参画している。

ウルグアイに400億円

橋本氏は、「この2分野への投資を今後強化し、20年度までに海洋 事業として最大4000億円ほどの投資を実施する」と述べた。ウルグアイ の計画には約400億円の投資をすでに決定、総工費は約10億ドル (約1000億円)近くかかるとの見通しを示した。資金は、国際協力銀行米州開発銀行を中心にコマーシャルバンクも参加する協調融資を組む 計画で進めているという。

同社は1月31日に、今期(2014年3月期)の営業利益予想を従来 の500億円から430億円に下方修正した。コンテナ船事業の運賃市況が想 定より低い水準にとどまる見込みのため。18日、同社株価は前日 比3.4%高の424円で取引を終了。終値ベースで1月31日以来の高値とな った。

橋本氏によると、LNG輸入は従来、陸上基地を使うのが常識だっ たが、最近は海上基地をより安価に早く建造できる。そのため、陸上基 地を持たない途上国でLNG輸入のための計画を検討する国の関心が高 いという。同時に途上国での巨大プロジェクトは「資金難や情勢不安な どのリスクがあり、需要があるからと簡単に着手できるものではい」と も指摘。完成まで早くて5年程度、総予算は最低でも3億から4億ドル かかるという。

M&A

橋本氏は、20年度までにFSRU案件は「世界で20から30件程度は 出てくるだろう」との見方を示し、「20年度までに3件から5件ほどは 確保したい」と述べた。「1年に1件程度を積み重ねて行ければ理想的 だ」という。既にチリ、インド、フィリピン、ベトナム、タイなど多く の国々から引き合いが来ていると語った。

FPSOも世界的に需要は高まっているという。現在は5基の建設 を契約、1基が既に稼働しており、今後も1年に1、2件程度契約し、 「数年以内に2倍の10基にまで持って行きたい」と述べた。

海洋開発関連の資金調達については、「これまでバルカーやタンカ ーなどの船舶に投資していた代わりに、商船三井のキャッシュフローを 海洋事業とLNGに資金を集中させることで当面はやっていけるだろ う」という。

橋本氏は、将来的には必要に応じて「LNGや海洋関連の事業会社 を上場させることなど資本市場からの調達」も選択肢として検討したい と発言。さらに、企業の合併・買収(M&A)について、「海洋事業で FSRUとFPSOの2つ事業領域をつくることができたが、第3、第 4のエリアを切り開くためには当然M&Aをやらないと時間がかかり、 結局出遅れることになる」として、前向きの姿勢を示した。

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