【今週の債券】長期金利0.5%台の下限探る、指標悪化や中短期低下で

今週の債券市場で長期金利は0.5% 台で低下余地を探ると予想されている。足元で経済指標の悪化が続いて いることや中短期債利回りの急低下で、長期ゾーンにも低下圧力が掛か りやすいことが背景。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが14日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは 全体で0.56%-0.63%となった。前週末終値は0.59%だった。

前週の長期金利は0.60%付近でもみ合いとなっていたが、14日には 株安・円高、5年債入札の好結果を受けて水準を切り下げ、0.59%と昨 年11月11日以来の低水準に達した。短期国債(TB)利回りの低下を受 けて、新発2年債利回りは0.065%と10カ月ぶり水準まで下げた。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「GDP(国内総生 産)のような遅行的な統計は景気の堅調を示すが、景気ウオッチャー、 輸出、機械受注といった先行的な指標には弱さが見える」と指摘。米国 では金融当局の政策スタンスの緩和化や寒波とミニ在庫調整の影響が消 えた後の景気指標改善を先読みして資金が動き始めた可能性があると し、「債券市場はまだサポートされやすく、現時点での売りは尚早」と 言う。

日本銀行は17、18日の2日間の日程で金融政策決定会合を開催す る。足元で緩やかな物価上昇と景気回復が続いており、金融政策の現状 維持を決める見込み。ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト34人を 対象に行った調査では全員が現状維持が決まると予想した。

20年債入札

19日に20年利付国債の入札が実施される。147回債と銘柄統合する リオープン発行で、表面利率(クーポン)は1.6%。発行額は1兆2000 億円程度。また、21日には既発国債を追加発行する流動性供給入札が予 定されている。発行額は3000億円程度。今回は既発の10年債と20年債が 対象となる。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は中心限月の3月物、10年国債利回りは332回債。

◎みずほコーポレート銀行資金証券部の新井厚志次長

先物3月物144円70銭-145円20銭

10年国債利回り=0.57%-0.61%

「長期金利は上がりにくい状況が続く。株式市場が引き続き不安定 でなかなか回復基調に戻らないため、外部環境を考えると金利上昇余地 は限られる。20年債入札は利回り水準がずいぶん下がったが、無難に通 過しそうだ。足元で短期ゾーンの金利が一段と低下し、中短期ゾーンは 低位安定。日銀は物価が上向きの中で市場の追加緩和観測を打ち消す方 向の姿勢で、しばらく動きはないだろう」

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長

先物3月物144円70銭-145円20銭

10年国債利回り=0.56%-0.62%

「短期ゾーンの金利がアンカーとなって、5年や10年債利回りもじ りじりと低下基調をたどる。短期国債市場は銀行などの買いで需給が逼 迫(ひっぱく)し、3カ月物が0.04%まで低下する中、2年や5年ゾー ンにも買いが波及している。3月に国債大量償還を控えて、今月末にか けて年限長期化の需要も膨らむ。また、昨年末の円安、株高の動きが反 転したことで、債券市場の金利上昇シナリオにも変化が生じている」

◎みずほ信託銀行の吉野剛仁チーフファンドマネジャー

先物3月物144円70銭-145円20銭

10年国債利回り=0.57%-0.63%

「株価が強くないうちは、日銀による追加緩和への観測が働きやす く、短い年限を中心に債券相場は安定した動きになりそう。日銀金融政 策決定会合は相場の材料にはならないだろう。黒田東彦総裁は、経済状 況は見通しに沿っているとの見解を示している。こうした見方を変える ことはないと思う。インフレ率が2%に行くまで低金利を続ける姿勢を 示すと思う。20年債入札は波乱はないとみている」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、船曳三郎 Editors: 崎浜秀磨, 山中 英典

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