豪ドル・円に上昇トレンド終了の兆し、株との連動は1年超で最高

世界的な株価反発などで投資家のリ スク許容度が改善する中、オーストラリア・ドルは今週、対円で1カ月 ぶりの高値を付けたが、テクニカル分析ではその上昇に終わりが近づい ている可能性が出ている。

今月に入ってからの豪ドルの円に対する上昇率は12日時点で3.6% と、主要16通貨中トップ。半面、トレンドの強弱を表す方向性指数(D MI)の平均方向性指数(ADX)は節目の20を下回り、豪ドルの上昇 が維持不可能になりつつあることを示唆している。

世界株式市場の時価総額は4日を底値に持ち直しているものの、今 年に入り8000億ドル超を失っている状態だ。豪ドルは12日時点で、主要 10通貨の中で今月の最強通貨となり、円は最弱通貨となっている。ブル ームバーグ・データによると、豪ドル・円と米株価指数先物はここ1年 以上の間でもっとも強い相関係数を示している。

サクソバンクの通貨戦略責任者のジョン・ハーディー氏(コペンハ ーゲン在勤)は、「資産市場が神経質な展開となれば、今後、豪ドル・ 円は上昇するリスクよりも下落するリスクの方が大きい」と指摘。「円 は依然、リスク許容度との相関が極めて強く、市場に痛みがあるときに はみんな円ショート(売り持ち)を解消する」と話す。

豪ドルは12日に一時、1豪ドル=92円97銭と1月16日以来の高値ま で上昇。13日午前10時13分現在は91円66銭前後で推移している。

上昇終了の兆し

ADXはJ.ウェルズ・ワイルダー氏が開発したDMIの指標の一 つで、一般的に20を下回るとトレンドが失われたことを示唆するとされ ている。足元の豪ドル・円のADXは18.2と1月23日以来の低水準だ。

相場の転換点などを探るのに使われるボリンジャ―バンドでは、豪 ドル・円は一般的に値動きの95%程度がその範囲内に収まるとされる標 準偏差の2倍のラインに近づいている。豪ドル・円は年初にも同ライン に接近し、その後1カ月間で6%近く下落した。相場の過熱感を表すス トキャスティクスは、基本となる「%K」ラインが80を上回っており、 豪ドルが「買われ過ぎ」の状態にあることを示している。

外為どっとコム総合研究所の川畑琢也研究員は、目先は昨年6月に 下抜けて以降、「上値抵抗線」となっている200日移動平均線を突破で きるかどうかがポイントになるとし、同水準をしっかりと突破すること ができなければ、豪ドル・円は下落に転じる可能性があると分析する。

川畑氏によると、200日移動平均線の近くには、日ベース及び週ベ ースの一目均衡表の「雲」もかかっており、この付近を抜けきれないと 基準線が控える91円ちょうど付近へ下落し、さらに同水準を下抜ければ 今月初めに付けた5カ月ぶり安値水準の88円ちょうど付近を目指す展開 になる。200日移動平均線は13日時点で92円44銭付近を通過している。

株との相関

ブルームバーグ・データによると、豪ドル・円と米S&P500種指 数先物の相関係数(120日ベース)は昨年11月の0.47前後から、今週に は2012年12月以来の高水準となる0.67前後に一時達した。プラスの数値 は正の相関関係を示し、1に近いほど連動が強いことを意味する。

豪IGマーケッツのチーフ市場ストラテジスト、クリス・ウェスト ン氏は、豪ドル・円について、昨年10月に付けた高値の95円69銭と年初 の高値94円15銭を結んだトレンドラインを終値ベースで上回ることがで きるかどうかが焦点になると指摘。その上で、「株式市場は上昇してお り、センチメントも強い。こうした環境ではキャリートレード(低金利 の通貨で資金を調達し、高利回り資産で運用する取引)が極めてうまく いく」と言い、高金利通貨への需要が豪ドルの上昇につながる可能性が あるとみている。

12日のアジア株式相場は、中国の1月の輸出と輸入がともに事前予 想を上回ったことを好感して上昇。前の日にはイエレン米連邦準備制度 理事会(FRB)議長が議会証言で緩和縮小を慎重に継続する方針を示 したことを受け、米株式相場が4日続伸した。

為替リスク管理を手掛けるロックフォード・キャピタルのシドニー 在勤ディレクター、デレク・マンフォード氏は、株式市場は一段と上昇 するかもしれないが、企業業績や景気動向が投資家の失望を呼ぶことで 年央に向けては失速する可能性が高いと予想。「株式市場の不透明感が 強まり、大幅な調整が起これば、豪ドルはほとんどすべての通貨に対し て下落するだろう」と指摘している。

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