NISA保有人気1位は武田薬、「3高」評価-大手ネット証

年初から始まった少額投資非課税制 度(NISA)で、国内製薬メーカー最大手の武田薬品工業が日本株の 保有人気トップを走り続けている。知名度の高さに加え、医薬品セクタ ーで業績安定度が高いとのイメージがあるほか、東証1部銘柄の中で相 対的に配当利回りが高いという「3高」への評価が背景だ。

インターネット証券大手のSBI証券楽天証券松井証券が公表 するデータや直接のヒアリングを通じ、ブルームバーグ・ニュースがま とめた。3社のNISA口座で個人の保有残高が多い銘柄はトップの武 田薬に続き、キヤノン、みずほフィナンシャルグループ、イオン、トヨ タ自動車、三菱商事などが上位に並ぶ。SBI証では、1月最初の取引 週(6-10日)で武田薬はトップになり、2月1週(3-7日)時点で もその座を維持している。

「NISAでは、配当利回りの高い銘柄が人気化している」と言う のは、SBI証投資調査部の藤本誠之シニアマーケットアナリストだ。 武田薬については高配当に加え、「値動きが相対的に安定しており、景 気の影響を受けにくい医薬品業界で国内最大手の知名度、ブランド力も NISA経由の個人マネーを集める大きな要因」と同氏は指摘、こうし た個人の買いが「株価下支えにつながっている」と見る。

武田薬株の年初来騰落率は、12日時点でマイナス0.8%と TOPIXのマイナス6.4%、東証医薬品株指数のマイナス2.1%アウト パフォームする。また、武田薬の配当利回りは3.76%と、TOPIX採 用銘柄の平均1.74%をしのぐ。一方、TOPIXに対する武田薬株のベ ータ値は0.68。これは、TOPIXが1%変動した場合に武田薬株 が0.68%変動することを示す。

大型買収効果が今後の焦点

武田薬は5日、2014年3月期の連結営業利益が従来予想から100億 円上振れ、前期比22%増の1500億円になる見通しと発表した。アナリス ト予想の平均1585億円を下回り、翌日には約4カ月ぶりの安値水準まで 売られたが、その後は持ち直している。

カブドットコム証券の山田勉マーケットアナリストは、武田薬の 「高配当の継続性には懸念もある」との見方だ。総額でおよそ2兆円に 及ぶ大型買収を過去実施したが、「買収効果はあまり出ておらず、利益 がなかなか上がってこない」点を理由に挙げる。配当性向が100%を上 回る状態が続いているものの、「最終利益以上を配当に回すことはいつ までも続けられない」とし、業績の低調を受けて将来的に減配リスクが 高まれば、「配当に魅力を感じ買った投資家は逃げていく」と言う。

武田薬は、08年に米医薬品会社ミレニアム・ファーマシューティカ ルズを88億ドルで買収、11年9月にはスイスの製薬会社ナイコメッド を96億ユーロで買収した。武田の今期連結純利益は前期比24%減の1000 億円、1株純利益は126.67円となる見通し。1株当たり配当は通期 で180円(上期、下期各90円)、配当性向は142%を計画している。

武田薬コーポレート・コミュニケーション部の吉川愛氏はブルーム バーグ・ニュースの取材に対し、NISAを通じた同社株の人気の高さ について、新薬創出に向けた研究開発活動、事業のグローバル化推進な ど中長期的な成長戦略が理解されているとの認識を示した。同社では、 グローバル化を進める中での競争力向上へ効率化を推進、18年3月期ま でに1000億円以上の経費削減を目標とし、今期は既に300億円以上の削 減を達成できる見込み、としている。

東証によると、個人投資家は1月に日本株を5カ月ぶりに買い越 し、月間買越額は1兆4270億円と08年10月の9928億円を上回り、統計を 開始した1982年7月以降で最高となった。証券優遇税制の廃止を控え昨 年11月に2兆372億円、12月に1兆9288億円売り越した状況から一変、 NISA始動の影響がデータ面で顕著に表れている。

NISAは、個人投資家が年間元本100万円までの株式や投信を新 規購入した場合、値上がり益や配当が5年間課税されない制度。きょ う13日は、語呂合わせから監督官庁、業界などの間でNISAの日と定 められ、東京・六本木では金融庁主催のシンポジウムが開かれる。

野村アセットマネジメントが13日に公表した「NISAに関する意 識調査」によると、インタネット調査会社のマクロミルを通じて首都圏 の20-50代の男女1万304サンプルを対象に行った結果、NISA利用 意向者は20%、検討者は19%、非意向者は61%だった。調査実施期間は 1月10日から15日。年明けから間もなかったにもかかわらず、利用意向 者のうち、16%が実際に投資を開始。投資実行者のうち、投信・株式保 有者が52%、株式のみ保有者が31%、投信のみ保有者が11%、投資未経 験者は6%で、既存の投資家からNISA活用に動きだしている。

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