ドル・円は102円台半ば、株高や経常収支赤字で―円売り圧力くすぶる

東京外国為替市場では、ドル・円相 場が1ドル=102円台半ばを中心に推移した。米雇用統計後の米株高を 引き継いだ日本株の上昇に加え、昨年12月の日本の経常赤字が過去最大 に膨らんだことで円売り圧力がくすぶった。

午後3時47分現在のドル・円相場は102円40銭付近。一時は102円64 銭と、1月31日以来の水準まで円安が進んだ。ただ、約1週間ぶりのド ル高値では、売り需要も散見され、102円32銭まで下押される場面もあ った。前週末の海外市場では、米雇用統計待ちの中、ドル売りが先行 し、一時は101円47銭までドル安が進行。その後は、米株の戻りを背景 に102円58銭まで値を戻した。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、米国の雇用統計 が悪ければ普通はドル売り材料だが、「米量的緩和の縮小ペースがもう 少し緩やかになるという連想につながる」面もあり、株式市場で好材料 視された感があると指摘。足元のドル・円相場は株価動向を見て「リス クオンかオフということに反応しやすい」とし、日本株を中心にアジア 株も堅調に推移しているということで、海外市場にかけてドル・円相場 が上値を試す可能性もあるとみている。

一方、佐藤氏は、東京市場でドル・円相場の上値が重かったことに ついて、「年初に付けた2008年10月以来の高値105円44銭から、今月4 日の安値100円76銭までの下落の38.2%戻しが102円55銭付近となってお り、ドルの上値めどとして意識されやすい」と分析した。

経常赤字は過去最大

米労働省が7日に発表した1月の雇用統計によると、非農業部門の 雇用者数は前月比で11万3000人増加した。ブルームバーグ・ニュースが まとめたエコノミストの予想中央値は18万人増加だった。昨年12月分は 7万5000人増と、速報値の7万4000人増からわずかに上方修正された。

米雇用統計の結果判明後の米株式相場は上昇。また、7日の新興国 市場株も、米雇用情勢の弱含みを受けて、米金融当局が量的緩和縮小の ペースを緩めるとの期待感から、MSCI新興市場指数が上昇し、週明 け10日も続伸している。

上田ハーロー外貨保証金事業部の山内俊哉氏は、米雇用統計の結果 を受けて、「QE(量的緩和)縮小ペースが緩やかになるとの期待感も 出たようで、株価の上昇から円が主要通貨に対して売られている」と説 明。ただ、目先の注目材料として、今週予定されている米連邦準備制度 理事会(FRB)のイエレン新議長の議会証言を挙げ、「QE縮小継続 示唆でドル・円相場の戻りは限定的になる可能性がある」とも言う。

一方、財務省がこの日発表した12月の国際収支(速報)によると、 経常収支は6386億円の赤字と、3カ月連続で赤字となり、比較可能な 1985年以降で過去最大の赤字額を更新した。

みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、日本の経常収 支について、「想定以上の貿易赤字増大などの影響がかなり大きくなっ ている」とし、円の先安観につながっていると説明する。

猪瀬直樹氏の辞任に伴って週末9日に行われた都知事選挙では、無 所属新人で自民、公明両党の支援を受けた舛添要一元厚生労働相(65) が初当選した。今回の都知事選では、細川護煕元首相が小泉純一郎元首 相の支持を得て「原発ゼロ」を争点に出馬しており、原発の再稼働を検 討している安倍晋三政権の方針に対して民意を問うといった点でも注目 されていた。

パインブリッジ・インベストメンツの松川忠債券運用部長は、「細 川トレード」で、債券買い・株売りになっていたとし、「海外勢は安倍 内閣が一定の信認を得られたと見て、株買いで反応する」と予想。その 上で、「先週後半からリスクアセットを買い戻す動きがあり、為替もド ル・円が102円台まで戻っていて、リスクオンに転換する流れになって いる」と指摘していた。

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