【今週の債券】長期金利0.6%割れ試す展開、リスクオンは時期尚早の声

今週の債券市場で長期金利は0.6% 割れを試す展開が予想されている。米国では雇用改善ペースが非常に緩 やかでリスクオフ(回避)基調が継続し、国内金利に低下圧力が掛かり やすいとの見方が背景にある。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが7日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは 全体で0.58%-0.66%となった。前週末終値は0.615%だった。

前週の長期金利は5日に一時、0.595%と昨年11月14日以来の0.6% 割れを記録した。新興国市場の通貨下落をきっかけにした世界的な株安 などが手掛かり。その後は0.6%台前半で推移した。一方、7日に発表 された1月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に下 回り、米10年国債利回りは2.6%台に低下した。

もっとも、今回の統計では寒波という特殊要因の見極めが難しいと の見方が出ており、市場ではイエレン米連邦準備制度理事会(FRB) 議長の議会証言に関心を向けている。イエレン議長は11日に下院金融サ ービス委員会、13日には上院銀行委員会でそれぞれ証言する。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「まだリスクオフの原 因が解消されたとはみておらず、リスクオン(選好)のポジションを積 み増し始めるのは尚早と判断している」と指摘。イエレンFRB議長の 議会証言などを見極め、「市場は欧米日の中央銀行の出方を待って再び 動き出すだろう」と言う。

5年債入札

14日に5年利付国債の入札が実施される。前週末の入札前取引で5 年物は0.195%程度で推移しており、表面利率(クーポン)は前回債と 同じ0.2%となる見込み。発行額は2兆7000億円程度。

12日には既発国債を追加発行する流動性供給入札が予定されてい る。発行額は3000億円程度。今回の入札では既発の20年、30年、40年債 が対象銘柄となる。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は中心限月の3月物、10年国債利回りは332回債。

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物3月物144円20銭-145円10銭

10年国債利回り=0.58%-0.66%

「米国経済に対する強気の見方がやや後退する中、リスク回避の動 きで0.6%割れを再び試しそうだ。現物市場の需給の良さも意識されそ う。ただ、米国の寒波の影響などを確認するには時間がかかるため、一 方向に買い進まれる展開までは見込みづらい。米国では3年、10年、30 年債の入札が実施され、米金利が低下しづらくなりそうなことも足かせ になるとみている」

◎パインブリッジ・インベストメンツの松川忠債券運用部長

先物3月物144円35銭-144円90銭

10年国債利回り=0.59%-0.66%

「今月に入って入札結果は良くなかったので、今週の5年債入札に もある程度の警戒感が出てくるのではないか。5年債利回りの0.2%割 れは買われにくくなっている。現行の0.2%近辺では厳しいので、入札 前に若干調整の売りが出ると思う。米国市場では国債入札もあり、米金 利上昇に連動して、日本も金利が上昇しやすい。もっとも、下値では押 し目を買いたい投資家がいるとみている」

◎クレディ・スイス証券の宮坂知宏債券調査部長

先物3月物144円40銭-144円80銭

10年国債利回り=0.61%-0.65%

「新興国市場の混乱の影響が一息ついて、再び米国経済の回復に注 目が集まる。米経済は基本的にしっかりしており、株式市場は徐々に回 復し、米長期金利がもう少し上昇する可能性がある。もっとも、円債は 日銀の長期国債買い入れオペやトレーディングタッチの売買でボラティ リティー(相場変動性)が作られやすい面もあるだろう。10年債利回り の0.6%台半ばでは押し目買いが入るのではないか」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎 Editors: 山中英典, 崎浜秀磨

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE