【日本株週間展望】6週ぶり上昇へ、急落反動-FRB証言も

2月2週(10-14日)の日本株相場 は、6週ぶりに反発する見通し。米国景気の不透明感や新興国通貨の混 乱に対する懸念は払拭(ふっしょく)し切れていないが、短期的な株価 の急落は行き過ぎとの見方に加え、安定した国内企業決算の内容も後押 しし、見直しの買いが優勢となりそうだ。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、「異常値で 下振れるケースも出ているが、米景気は基本的に回復感が持続してい る」とし、日本の企業業績から見た日本株は「割安過ぎる」と言う。

第1週の日経平均株価は、前の週に比べ3%安の1万4462円41銭と 5週続落。米供給管理協会(ISM)の1月の製造業総合景況指数が大 幅に低下し、拡大ペースがここ8カ月で最も鈍く、米景気に対する不透 明感が強まった。5日の取引で日経平均は一時、昨年10月以来となる1 万4000円を割り込んだ。

アベノミクスへの期待で昨年大幅に上昇した日本株は、年明け以降 さえない展開が続く。5週連続安は、2012年4-6月に記録した9週続 落以来の長期下落。日経平均のみならず、TOPIXも同年11月以来、 投資家の長期的な売買コストである200日移動平均線を割り込んだ。5 週続落、200日線割れはいずれも安倍政権になって初めてだ。

日本株下落のきっかけは、米国の量的緩和策の縮小による米国株 安、為替の円高推移が背景にある。「米金融政策のスタンスが変わり、 米国株は景気先行きの見極めで半年程度の日柄調整が必要」と、東京海 上アセットマネジメント投信の久保健一シニアファンドマネジャーはみ ている。金融政策の変更を可能にしたのは足元の景気堅調だっただけ に、ISM統計の下振れに市場は大きく動揺した。

米景気や新興国通貨への不安から、直近の為替市場では安全資産と しての円買いが先行し、ドル・円相場は一時1ドル=100円70銭台と昨 年11月の水準まで円高が進んだ。東京海上アセットによれば、対ドルで 1円の円高は企業収益を1%押し下げ、株価には2%の下げとなって影 響する傾向があるという。

ポジション調整進む、「BRICs」命名者の視点

もっとも、1月後半からの急激な株価下落で、日本株の調整はかな り進んだとの声も市場関係者の間で聞かれる。米S&P500種株価指数 は1月15日高値から2月3日まで5.8%、TOPIXは1月8日高値か ら2月4日までに13%下げ、日本株の下落率の大きさが際立った。テク ニカル分析面では、投資家の短期的売買コストである25日線からの下方 乖離(かいり)率がなお、目先反発の可能性を示す5%を超える。

「投資家は円安・株高のポジションを高めていたが、4日の東証1 部売買代金と先物売買の膨らみから考えて、ポジション調整はかなり進 んだのでないか」と、富国生命保険の山田一郎株式部長は指摘した。同 日の東証1部売買代金は3兆6364億円に急増、1月月間の1日当たり平 均2兆5772億円を4割上回った。

さらに、アルゼンチンを発端とした新興国通貨の混乱に対し、金融 市場のショック的な動きは収まりつつあるようだ。元ゴールドマン・サ ックス・アセット・マネジメント会長で、ブラジル、ロシア、インド、 中国の4カ国を「BRICs」と名付けたジム・オニール氏は、「新興 国の一部は実際に問題を抱えているが、『新興市場危機』などど言われ ているのは多少ばかげている」と冷静な対応を促し、「パニックに加わ るより、買いを入れる機会に接近している」との見解を示した。

第2週は、米国で13日に1月の小売売上高、14日に鉱工業生産やミ シガン大学の消費者信頼感指数が発表予定。ブルームバーグがまとめた エコノミスト予想によると、小売売上高は前月比0.1%増(前月0.2% 増)へ鈍化し、鉱工業生産は前月比0.3%増と横ばいが見込まれる。

イエレン議長が議会証言

市場関係者の間で注目されているのは、11日の下院金融サービス委 員会、13日の上院銀行委員会でのイエレン連邦準備制度理事会 (FRB)議長の議会証言だ。「景気次第で、粛々と米量的緩和策の縮 小を行っていくポリシーを曲げないなど、マーケットを落ち着かせる方 向に証言を行うのではないか」と、野村証券投資情報部の若生寿一エク イティ・マーケット・ストラテジストは予想している。

国内では決算発表が相次いでおり、野村証は金融を除く主要企業の 今3月期経常利益を37.3%増、来期10.9%増と試算。「企業業績は想定 通りの上振れ。為替前提の円安方向への変更で今期4割増益、来期15% 増益ぐらいになりそう」と若生氏はみる。来期予想PERは13倍台まで 低下し、「昨年は14-16倍で推移したことから、振り返ってみれば、割 安圏になる可能性がある」とも話した。

ただ、当面の日本株の上値に関しては重くなる見通し。1月の米経 済指標は悪天候も影響していると受け止められているが、「一時的な天 候要因か、長期間続くのかどうかは現時点では判断がつかない」と、 SMBCフレンド証券の松野利彦シニアストラテジストは言う。このほ かの経済統計は、海外で12日に中国の1月貿易収支、国内では10日に1 月の景気ウオッチャー調査、12日に昨年12月の機械受注がある。

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