ソニー:平井社長に強まるプレッシャー-今期1100億円赤字へ

経営再建中のソニーは、今期(2014 年3月期)の純損益予想を1100億円の赤字に下方修正し、市場関係者を 驚かせた。パソコン(PC)事業の売却とテレビ事業の分社化を打ち出 したが、市場からの平井一夫社長へのプレッシャーは強まっている。

平井社長は約2年前の社長就任以降、エレクトロニクス(エレキ) 事業の再生とテレビ事業の黒字化を目標に掲げてきた。6日の決算発表 後の記者会見でも平井氏は自らの使命は「エレキ事業を再生、成長させ ること」だと繰り返した。しかし、今期もエレキ事業が赤字になること を認めざるを得なかった。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の西村美香アナリストは6日 付リポートで「エレキの追加構造改革発表はプラス印象」としつつ、デ ジタルAV製品やスマートフォン(スマホ)の事業環境悪化により「中 期的にはまだ楽観視できない」と記載した。いちよしアセットマネジメ ントの秋野充成執行役員は「来期には平井社長にもっとプレッシャーが 掛かるだろう」と述べた。

だが、手をこまねいているわけではない。6日の発表資料によると 7月をめどにパソコン事業を投資ファンドの日本産業パートナーズに売 却するほか、テレビ事業については分社化する。これに併せて14年度末 までに国内外合わせて5000人の人員削減も行う。これら構造改革費用と して今年度200億円を上積みし、来年度は700億円を見込んでいるが、15 年度以降の固定費削減効果は年間1000億円以上になるとしている。

7日のソニー株は一時、前日比5.1%高の1707円まで買われた。午 後1時14分現在は同2.3%高の1661円で取引されている。

再生への道

「VAIO(バイオ)」ブランドを展開しているパソコン事業につ いては14年春モデルを最後に事業を終え、日本産業パートナーズが設立 する新会社に売却する。円滑な事業移行のためソニーも当初5%を出 資。新会社は現在のソニーのパソコン事業の拠点である長野テクノロジ ーサイト(長野県)を引き継ぎ、譲渡価格は今後協議するという。ソニ ーはモバイル領域ではスマホとタブレットに集中する。

一方、テレビ事業は新興市場の成長鈍化や通貨安などの影響で、今 期は赤字となる見込みだ。ただ、「テレビ事業再生への道筋は見えてき た」とし、高画質の4Kテレビの商品ラインアップを強化し、高付加価 値商品の比率を高める方針。同時に製造、販売、間接部門で規模の適正 化を進めるとともに、事業責任を明確化するため、テレビ部門を分社化 する方針も打ち出した。

平井社長は会見で「テレビやパソコンを取り巻く事業環境が厳しく 推移する中、対策を迅速に実行する」と語った。また、中期成長戦略を 今年度末以降に発表することも明らかにした。

問われる本気度

ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真最高経営責任者 (CEO)は「テレビを毎年黒字にするとしていたのに、結局赤字にな る」とした上で、「パソコンのようにやめるべきだ。そのほうが投資家 に本気度をアピールできる」と語った。

6日発表された決算資料によると、1100億円の赤字とされた今期純 損益見通しについては、昨年10月時点で会社は300億円黒字と予想して いた。ブルームバーグ・データによるアナリスト19人の事前予想平均で も248億円の黒字が見込まれていた。通年で赤字となるのは過去6年で 5度目となる。スマートフォン、オーディオ・ビデオ機器などが振るわ なかった。今期営業利益予想も800億円(従来1700億円)に見直し、売 上高予想は7兆7000億円に据え置いた。

ソニーは今期のスマホの販売目標を4000万台とし、従来の4200万台 から下方修正した。そのほかの製品については目標を維持した。1-3 月期の想定為替レートは1ドル=104円前後(従来100円前後)、ユーロ については1ユーロ=140円前後(従来130円前後)に変更した。

エース経済研究所の安田秀樹アナリストは、今のソニーには「昔、 ウォークマンを作ったような新しい種がない」と指摘。「自分で商品を 作り出せなくなっており、ビルやビジネスを売っているだけ。平井社長 には攻めが欠けている」と述べた。

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