クール・コリアを演出する女性経営者-弟の逮捕で注目度アップ

韓国最大の食品・通販・テレビ放 送・映画会社、CJグループのミキー・リー(李美敬、イ・ミギョン) 副会長は、同社の役員応接室で来客にあいさつしながらほほ笑んだ。黒 の洋服とダークグレーのレギンスに身を包み、ふくらはぎ丈のマイケ ル・コースのスニーカーをはいたリー氏は、ここ数カ月の苦労をおくび にも出さなかった。

今回が初の本格的なインタビューとなったリー氏(55)は、昨年7 月の弟の李在賢(イ・ジェヒョン)会長の逮捕で揺れるCJグループを どのように指揮しているかについて語った。ブルームバーグ・マーケッ ツ3月号が報じている。

リー氏は、「今は以前より長時間働き、もっとたくさんの人に会 い、バランスシートを含めより多くのことに対応している。CJは正常 な状態に戻るだろう」と話した。同氏の祖父はサムスングループを創業 した李秉喆氏。応接室では、李氏の肖像が圧倒的な存在感を示してい る。

リー氏は韓国にとって重要な時期にCJグループの指揮を執ること になった。昨年2月に就任した朴槿恵大統領は、成長刺激に向けて財閥 の規制、女性の権利拡大、クリエーティブな事業の促進を約束した。

ゼロからの出発

リー氏は韓国の映画・音楽が一大産業に成長するのを後押しした。 同氏は3月19日に54歳になる弟の李在賢会長と共に、祖父が1953年に創 業した製糖・製粉会社の第一製糖工業を韓国14位の企業グループに育て 上げた。

外国では「ジェイ」として知られる李会長は2002年、社名をCJグ ループに変更。07年には持ち株会社のCJコープを設立した。昨年の CJグループの76部門の売上高は1995年から16倍余り増加し、約28 兆5000億ウォン(約2兆6900億円)となった。

米映画会社ドリームワークスSKGをジェフリー・カッツェンバー グ、スティーブン・スピルバーグ両氏と共に設立したデービッド・ゲフ ィン氏は、リー姉弟がエンターテイメント帝国を一から築いたと指摘し た。「エンターテイメント業界で、全く何もないところから信じられな いほどの成功を収めるまで成長したのは驚くべきことだ」と話す。

ミキー・リー氏の要請で第一製糖工業は95年、当時新会社だったド リームワークスに3億ドル(現在のレートで約300億円)を投資し、同 社の映画を日本以外のアジアで配給する権利を獲得した。これを機にリ ー姉弟はエンターテイメント業界に進出した。

ビジョンと資本

韓国映画振興委員会によると、1999年に韓国人が映画館で1年間に 見る映画の本数は平均1.17本だった。調査会社スクリーン・ダイジェス トによれば、2013年には4.12本に増加し、米国の3.88本を上回った。

法律事務所リー・アンド・コー(ソウル)のエンターテイメント担 当パートナー、崔正煥(チェ・ジョンファン)氏は、「韓国の映画がど うして突然これほどクールになったのか人々は不思議に思っている。全 てを可能にしたのがまさにリー氏のビジョンと資本だ」と述べた。

CJグループが成長しても、ミキー・リー氏は弟の李会長ほど注目 を集めなかった。少数株主の権利向上を目指す「経済改革連帯」のディ レクター、キム・サンジョ氏は、「韓国の裕福な家庭では珍しく弟と親 しかったことやメディア業界での成功を除いては、彼女についてほとん ど知られていない」と述べた。

弟の逮捕

弟の李会長は大局的な考えを持った人間だったという。キム氏は同 会長について、「まだ韓国に存在していない事業について語っていた。 彼は戦略家で、その穴を埋めるのは大変だ」と述べた。

李会長の不在によりリー氏への注目度が高まっている。朴大統領が 昨年、財閥の規制に着手すると検察当局は李会長を脱税、横領、背任の 疑いで逮捕した。

李会長は昨年7月に拘束され、翌月に腎臓移植を受けた。裁判は昨 年12月に始まった。同会長の弁護士、キム・ヨンサン氏は、逮捕容疑は 個人の税金に関わるもので、同会長は会社に損失を与えなかったと主張 している。キム氏は「われわれは無実を証明するため闘っている」と述 べた。

「慣れた仕事」

李会長の逮捕後、CJグループは新設された4人で構成される運営 委員会のメンバーにミキー・リー氏を指名した。あとのメンバーは母方 のおじである孫京植(ソン・キョンシク)共同会長(74)と社外マネジ ャー2人。

リー氏は自らの役職をCJグループの事実上の最高経営責任者 (CEO)だと話す。だが、それは弟の不在中に自らが会長職に就くこ とを意味せず、実際には役職による変化はないという。「昔からやって いる慣れた仕事だからだ。私たちはどちらかといえばベンチャー企業の 共同創業者に近く、弟が戦略を策定して私がそれを実行していた」と語 る。

2012年はリー氏の得意分野であるエンターテイメント以外の事業が CJの売上高の83%を稼いだ。CJグループの売上高は韓国の国内総生 産(GDP)の2.4%に相当する。現在の危機を乗り越えることが同グ ループに突き付けられた課題だ。

原題:CJ Group’s Lee Sells Korean Cool as Brother Fights Tax Charge(抜粋)

--取材協力:Sam Kim. Editors: Gail Roche, Jonathan Neumann

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