7カ月ぶりの水準まで上昇している ANAホールディングスの社債保証コストは、今後沈静化する可能性が あるとBNPパリバ証券はみている。羽田空港の国際線発着枠拡大に伴 う国際線拡充に加え、赤字企業の繰越控除制度の縮小が報道通り実現し た場合、ライバル日本航空には逆風が吹くと考えられるからだ。

クレジットデフォルトスワップ(CDS)市場でのANAの社債保 証料率は年明け以降、新興国経済の不安などを背景に上昇。CMAによ ると、同料率は4日、181ベーシスポイント(1bp=0.01%)とな り、昨年7月以来の高値を付けた。年初来では54bpの上昇。国内主 要50銘柄で構成されるマークイットiTraxx日本指数は、同じ期間 に21bpの上昇にとどまっていた。

国土交通省は昨年、再生過程での日航への支援を踏まえ3月末から の新規羽田発着枠をANAに11枠、日航に5枠と配分した。日航は「不 平等」と強く反発している。また企業が赤字を翌期以降の黒字と相殺で きる繰越控除制度の縮小を政府・与党は検討すると4日付の日本経済新 聞は報じた。同制度実現で、繰越欠損金1兆円弱を抱える日航は課税対 象の減額幅が小さくなったり、優遇期間が短縮化する。

BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは、報道 された赤字の繰越控除縮小が実現すれば、競合相手の日航の利益がある 程度減ることになり、「間接的にはANAに若干有利にはなる」と話 す。羽田国際線発着枠の傾斜配分は「ANAに有利な状況」とし、 ANAの信用スプレッドはより縮小するとみるのが妥当との見方を示し た。

日航好業績

ANAの4-12月期営業利益は前年同期比36%減の690億円。円安 ドル高を背景とした燃油費高騰や、ボーイング787の電池不具合によ る代替機使用が響いた。

同じ期間の日航の営業利益は1375億円とほぼ2倍近い。今期営業益 (2014年3月)予想はANAの600億円に対して、日航は1580億円。

投資顧問会社バリューサーチ投資顧問の松野実社長は、航空関連の 市場環境全体に共通するマイナス要素である円安、787トラブルなど を踏まえても「日航の好調さを印象付ける内容、財務体質の差が鮮明に 出たのは事実。差が広がるのか縮まるのか次期以降の経営戦略がカギを 握る」との見方を示した。

つばぜり合い

ANAはそもそも今回の発着枠の傾斜配分について、政府の日航へ の支援の恩恵は終結しておらず減価償却や法人税、そして金利負担など の面で今後も続き、現状の日航の黒字体質とは見合っておらず、競争環 境をゆがめているとの認識を持っている。

一方の日航は、枠数は長期に渡り固定化されるもので、平等に配分 するのが最善策と反発している。日航は1枠だが深夜早朝枠を使い新規 の国際路線となる羽田-ホーチミン線の申請すると表明。これに対し、 ANAは国交省と歩調を合わせる形で、経営再建で公的支援を受けた企 業として新規路線は抑制されるべきとの主張を展開した。

羽田国際線発着枠の傾斜配分はANAに有利とみる中空氏は「これ を活用した首都圏空港の戦略については現時点で問題は見当たらず成長 が期待できるのではないか」とし、来期以降の具体的な中計の詳細発表 に期待を示した。ANAは14日に羽田の国際線拡充を中核とした中期経 営計画を発表する予定。

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