ドラギ総裁は3月に動くか-ECBに「行動する意思と用意」

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総 裁は、ECBが早ければ3月にも、低インフレとの闘いで行動する可能 性を示唆した。同月にはユーロ圏経済について一段とデータが出そろ う。

総裁は6日、政策決定後の記者会見で「われわれには行動する意思 も用意もある」と言明。「今日、行動しないことを決めた理由は実のと ころ、状況の複雑さと、さらなる情報の必要性だ」と説明した。ECB は政策金利を過去最低の0.25%で据え置いた。

ECBは3月に四半期マクロ経済予測を発表する。そこには2016年 のインフレに関する初めての予想も含まれる。経済予測は今までにも追 加緩和の根拠を提供してきた。ドラギ総裁は、米国の金融緩和縮小開始 に端を発した世界的な市場の動揺の中、ユーロ圏経済のかじ取りと域内 銀行システムの健全性審査の遂行に取り組んでいる。

ベレンベルク銀行の欧州担当シニアエコノミスト、クリスチャン・ シュルツ氏(ロンドン在勤)は「インフレ率の弱さが続く限り、一段の 措置への扉は大きく開かれた状態が続く」とし、「2016年に入っても当 分インフレ率がECBの目安を大幅に下回り続けるという結論にスタッ フが達すれば、ECBは一歩進んで利下げをすることがあり得るだろ う」と述べた。

ドラギ総裁の会見中にユーロは上昇し、会見開始時の1ユーロ =1.35ドルから一時1.362ドルまで上げた。

1月のユーロ圏インフレ率は事前予想に反して0.7%に低下し、 ECBが目安とする2%弱の水準の半分にも満たない。インフレ率は昨 年10月も09年以来の低水準の0.7%となったが、ECBはその翌月の11 月に利下げに踏み切った。

断固たる措置

総裁はこの日の会見で「高い水準の金融緩和を維持し、必要ならば 一段の断固たる措置を取るという固い決意に変わりはない」と表明。 「ECBの政策金利が現行またはそれ以下の水準で推移するとの政策委 員会の考えをあらためて強く表明する」と強調した。

ソブリン危機中に実施した債券購入で生じた流動性を吸収する、い わゆる不胎化措置をやめることも、短期金融市場のボラティリティを抑 える方法として政策委が検討している「数多くの手段の一つだ」とドラ ギ総裁は語った。ただ、これについて今回の政策委員会で協議されたと は述べなかった。

危機時にギリシャやイタリアの国債を購入したことで生じた流動性 の吸収をやめれば、金融システム内の過剰流動性は倍増する。銀行間市 場の安定につながり、金融機関が資金を融資に回さず抱え込む傾向も減 らせる公算が大きい。ドラギ総裁は短期金融市場の金利が妥当でない水 準になった場合や中期的なインフレ見通しが悪化した場合は、行動する 用意があると表明している。

安定化の兆しも

銀行間市場の金利動向はこのところ落ち着いているものの、ECB は依然として注視しているとドラギ総裁は言明した。翌日物金利である ユーロ圏翌日物無担保平均金利(EONIA)は4日に0.13%と1カ月 ぶりの低水準だったが、1月20日には0.36%に達し、同月には4日連続 でECBの政策金利を上回ったこともあった。

経済指標も改善し、ユーロ圏の製造業の指標やドイツの景況感は高 水準にある。域内銀行が今四半期は企業向け与信基準を引き締めない方 針であることもECBの調査が示した。

中国やブラジルなど新興市場経済の減速と米国の緩和縮小という外 的な逆風にもかかわらず、ユーロ圏の景気と金融市場は堅調さを増して きたとドラギ総裁は指摘。「ユーロ圏の経済と金融市場はかなりの回復 力を示した。緩やかな回復だが勇気づけられる兆候が幾らか見られる」 と述べた。

原題:Draghi Says ECB Action May Come in March as Inflation Slows (2)(抜粋)

--取材協力:Alessandro Speciale、Jana Randow. Editor: John Fraher

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