クレディ・スイスの期待に冷水-モンゴルでの投資めぐる混乱

モンゴルは鉱物資源の豊かさでは世 界でもトップクラスだ。推定1兆3000億ドル(約132兆円)相当の金や 銅、石炭、鉄鉱石を有し、「マインゴリア」と呼ばれるほどで、経済も 急成長を続ける。それでも一部の海外投資家はモンゴルから逃げ出した いと思っている。モンゴル有数の銀行、ゴロムト銀行での最近の混乱が その理由を物語っている。

クレディ・スイス・グループとアブダビの政府系ファンド (SWF)は有望な資源の分け前にあずかろうと、ゴロムト銀に数年前 に出資したが、そうした期待は今や崩れ去ろうとしている。ブルームバ ーグ・ニュースが調査した文書によれば、同行オーナーの1人が融資を 報告せず、デフォルト(債務不履行)を数年にわたり隠していた疑惑が 浮上、同行の取締役会は調査に動いた。契約違反を主張しているクレデ ィ・スイスとアブダビのSWFは最近、融資返済を求め調停の取り組み を始めた。

クレディ・スイスとアブダビのSWFは2007年以降、ゴロムト銀に 株式転換貸し付けの形で計3500万ドルを提供。契約はゴロムト銀に監査 済みの財務報告書を迅速に提出することを義務付け、契約から5年以内 に貸し手側が同行の新規株式公開(IPO)の際に同行の株式を手にす ることになっていた。

だが12年にIPOは実施されなかった。その代り、その年にクレデ ィ・スイスとアブダビのSWF、ゴロムト銀の一部取締役と最高経営責 任者(CEO)が知り得たのは、同行が08年以降日本の商社に対して簿 外債務の返済を怠っていたということだった。同行の事情を知る2人の 関係者とブルームバーグが調べた文書で判明した。

委託調査

ゴロムト銀の取締役会が委託した調査の1つでは、会計事務所プラ イスウォーターハウスクーパース(PwC)は、同行内部の複数のマネ ジャーが07年8月から08年5月にかけ6800以上のファイルと銀行間送金 システム「スイフト」の記録を削除したと指摘。PwCは13年8月12日 のリポートで「これらの人物は今も行内で現役のままだ」と説明した。 PwCのウランバートル事務所のパートナー、マシュー・ポトル氏は顧 客の案件についてはコメントできないと述べた。PwCは12年から同行 の帳簿を監査した監査人3社のうちの1社。

ゴロムト銀のボロルマー・ロブサンドルジ副頭取は、昨年遅く結果 が出た12年の監査に同行は協力し、日本企業の主張については問題が解 決したとコメントした。同副頭取は先月28日の電子メールで「これらは 過去の問題だ」とし、13年に同行は力強い流動性を報告したとした上 で、「総資産に対する貸出金の比率は極めて慎重な57.1%」だと記し た。

クレディ・スイスの広報担当者ジョゼフィン・リー氏はゴロムト銀 に関連する問題にはコメントしないと述べた。アブダビのSWFを代表 する1人、マーク・キュティス氏は電子メールで、この件について話す 権限がないと説明した。ゴロムト銀は1995年、現在モンゴル外相を務め るボルド・ロブサンワンダン氏が設立した持ち株会社の一部として創業 した。ボルド氏は不正行為を問われてはいない。同氏にコメントを求め 電子メールを送付したが返答はない。

--取材協力:Michael Kohn、Michelle Yun. Editors: Peter Langan, Jeffrey D Grocott

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