三井住友:メガ初のヘルスケアリート、来年3月上場へ-高齢施設促す

三井住友銀行は、メガバンク初とな るヘルスケア特化型のJ-REIT(不動産投資信託)を2015年3月を めどに上場させる方針だ。上場に伴い投資家から集めた資金や同行など からの融資を使って、介護施設や高齢者用住宅などに投資。高齢化を背 景に整備が急務となっている関連施設の供給を促す。

ファイナンシャル・ソリューション営業部の大石薫朗グループ長 が、ブルームバーグの取材に答えた。運用対象となる高齢者向け施設・ 住宅の資産規模は当初200億円の予定で、うち半分ほどに取得のめどが ついているという。賃貸収入を原資として、投資家に配当する。

日本は少子高齢化の進展で有料老人ホームなどの高齢者向け住居の 不足が徐々に顕在化している。厚生労働省の統計によると、65歳以上の 人口に対する高齢者向け住宅などの定員数の割合は4.4%と、英国 (11.7%)や米国(6.2%)を下回っており、その整備が求められる。

介護保険適用の高齢者向け施設などは公的財源の制約から増加余地 が限られる。これに対し、保険適用外の高齢者住宅などは増やしやす く、政府はこうした住宅について、老齢人口に占める定員割合を20年ま でに現在の0.9%から3-5%に引き上げる目標を設定。大石氏は、現 状の約40万戸に対し、最終的に「110万から180万人分が必要」とみる。

建設促進のかぎを握るのは、資金の確保だ。大石氏によると、これ まで介護施設の整備は土地を持った個人や介護事業運営業者が中心で、 調達できる資金量に限りがあったという。豊富な資金を持つリートが投 資することで、事業運営者が施設数や規模を拡大できるとみる。

また同じ資金の出し手でも投資ファンドの場合は、投資回収に向け て、最終的に施設を売却することが多く、買い手が必要だ。長期保有を 基本とするリートが参入すれば、「参入に慎重だった投資ファンドも活 発になるのでは」と、同氏は話す。

ローン

ヘルスケアリートに関しては、大和証券グループと新生銀行も上場 予定を公表しており、この分野への金融業界の参入意欲は高まってい る。投資法人はIPOや公募増資などで投資家から資金を集めるだけで なく、設立母体の銀行などからの融資も期待できる。

米国ではヘルスケアリートが普及し、アジア・インベストメント・ パートナーズの資料(12年9月末)によると、米国のリート市場の時価 総額約33.9兆円に占めるヘルスケアリートの割合は約15%。

銀行のヘルスケアリートへの参入の動きについて、UBS証券の伊 奈伸一アナリストは「医療・介護分野は今後間違いなく資金需要が伸び る分野。そこを取り込んでいくのは銀行の役割としても当然だろう」と 指摘する。

また、カネ余りの地銀について「貸出先が少ない中で、医療・介護 分野は地銀でも伸びているセクター。こうしたリートをビークルとして 使って、貸し出しを伸ばせる可能性がある」と話した。

投資利回り

安倍政権下での金融緩和や不動産市況の回復を受けて、Jリートに は投資資金が流入。13年のJリート新規上場は6件で、リーマンショッ ク以前の06年の12件以来で最多だった。

投資対象も従来のオフィスや商業施設、住宅などの物件から広がり を見せており、2月に新規上場するヒューリックリート投資法人は投資 対象の14%を有料老人ホームとしている。不動産証券化協会の調べで は、同投資法人の老人ホームのNOI利回り(費用を除いた賃貸収入を 取得予定価格で割って算出)の平均は5.9%と、オフィス(4.6%)や商 業施設(5.5%)を上回る収益性が見込まれている。

新生銀行の資料によると、高齢化社会の中で高齢者向け施設はオフ ィスビルやマンションなどと比べて景気変動の影響を受けにくい。さら に運営会社が長期契約で固定賃料で一括借り上げするため、空室リスク や賃料変動リスクが低いという側面がある。

農中信託銀行のシニアファンドマネジャー新海秀之氏は、「しっか りした運営会社であれば、投資家としても関心がある」と述べた。

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