ウォール街の出世階段上りつつ世直し、これぞ今風若手バンカー

社会的活動のリーダーとなる若者の 育成やその活動支援を手掛ける非営利団体レゾリューション・プロジェ クトの創始者らは、寛大さや慈善という言葉よりも金融の世界の用語を 好む。

同団体の副会長を務めるアンドルー・ハリス氏(31)の本業は、フ ォーラム・キャピタル・パートナーズでプライベートエクイティ (PE、未公開株)投資会社に助言することだ。同氏は「高い利回り」 とか「差別化」というウォール街用語を使う。

新世代の若きバンカーたちはキャリアを捨てることなく、孤児や移 民、退役軍人、学生を支援する非営利団体を設立している。資本主義の 知恵を使って世直しを試みる彼らは、配当やデュー・デリジェンス(資 産の精査)、レバレッジ、資本の効率的な配分がもたらす力を説く。危 機後の新しいウォール街の慈善事業のあり方を作りつつあるのだと言う 者もいる。それは十分に寄付できるようになったり慈善事業に100%身 を投じられるようになるまで待たないという新たな道だ。

ヘッジファンド会社、ポールソンのアナリスト、アンドルー・クレ ーバー氏(32)は「われわれの世代には、学習することと収入を得るこ と、社会に還元することの3つを同時に行うことへの深い情熱と関心が ある」と話す。同氏の非営利団体、イーブン・グラウンドはエイズウイ ルス(HIV)に感染したアフリカの子供たちに教育を提供しケアを施 す。「リサーチをすると、満たされていないニーズが見えてくる。リサ ーチはウォール街の得意技だ」と同氏は語った。内国歳入庁(IRS) によれば、イーブン・グラウンドはこれまでに80万ドル以上(約8100万 円)以上を寄付している。

2月8日にニューヨークで設立記念のパーティーを開くアセンド・ エデュケーショナル・ファンドの創始者3人はゴールドマン・サック ス・グループでの勤務経験がある。共同創始者の1人で現在はヒュース トンの投資会社ウィンドエーカー・パートナーシップで働くアドリエン ヌ・セラート氏(27)は、「われわれがターゲットとしているのは開拓 されていない市場だ」と話す。在留資格の内容にかかわらず移民の学生 に奨学金を出す同氏のグループは、発足後初めて通年活動となった2013 年に3万2000ドルの奨学金を出した。

もう1人のアセンド創始者、ジュリッサ・アース氏はバンク・オ ブ・アメリカ(BOA)でメリルリンチの顧客のためにデリバティブ (金融派生商品)を設計している。30歳の同氏は「初めて『やった』と 思ったのはディレクターになった時ではなくて、このファンドを立ち上 げた時だった」と振り返った。

08年の金融危機が慈善活動に目覚めるきっかけになったという者も いる。ニューヨークの資産運用会社ゴラブ・キャピタルのアナリスト、 ティム・クライマン氏(30)は「金融危機によって、謙虚さというもの を感じるようになった」と言う。

アフリカの高等教育推進のためのプロジェクトに関わっている同氏 は「システムが崩壊して人々が苦しむ状況を目の当たりにするという、 根底から自信をくじかれるような体験」が自身を覚醒させたと話す。エ ール大学を卒業してコンサルティング会社マッキンゼーとヘッジファン ドのDEショーでも働いた同氏は、有意義なプロジェクトを始めるのに キャリアの頂点に上り詰めるまで待ちたくなかったと言う。「私がパー トナーになって、稼ぐべきお金を全部稼いだ後の世界がどんなものにな っているかなんて、誰にも分からない。だったら、今すぐ何かを始めた 方がいい」と同氏は語った。

原題:Young Bankers Climbing Wall Street Unleash Nonprofits (Correct)(抜粋)

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