日本株楽観弱まる、新興国波乱で海外勢変調-1月ワーストに

日本株に対する楽観ムードが急速に 後退している。新興国市場の波乱が世界の投資家のリスク選好姿勢を冷 やした上、為替の円安一服、4月からの消費税引き上げも控え、企業業 績への信頼感も揺らぎ始めた。昨年の歴史的上昇相場を引っ張った海外 投資家が年初から売り越しに転じ、需給面の変調も懸念材料だ。

豪パーペチュアルの投資市場調査責任者、マシュー・シャーウッド 氏は日本株について「昨年の目を見張る上昇を受け、今はネガティブな 見方に変えている」とし、一段の相場上昇には「収益の改善が続くかど うかを確かめる必要がある」との見方を示した。

2013年の日経平均株価の上昇率は57%と、列島改造ブームに沸い た1972年(92%)以来、41年ぶりの大きさを記録した。しかし、1月は 一転1376円(8.5%)安と、下げ幅はリーマン・ショック直後の2008 年10月(2682円)以来となり、下落率は24の先進国市場でワースト。2 月最初の取引では、13年の大納会で付けた昨年来高値(1万6291円)か らの下落率が10%を超え、調整局面入りした。ドル・円相場は直近で一 時1ドル=101円を割れ、年初の105円44銭から円高・ドル安で推移す る。

日本が休場中だった年末年始の米国株が軟調、為替の円安一服傾向 などから、日本株は年初からつまずいた。その後も米国雇用者数の伸び 鈍化、中国の景況感悪化やシャドーバンキング問題の再燃、新興国通貨 の急落と市場心理の悪化を招いた悪材料が押し寄せている。特に新興国 問題は、アルゼンチンの厳しい経済・財政事情など独自の要因に加え、 米国の量的金融緩和の縮小が新興国からの資金引き揚げにつながるとみ られている。米連邦準備制度理事会(FRB)は先月29日、昨年12月に 続き債券購入額の100億ドル縮小を決めた。

みずほ投信投資顧問の岡本佳久執行役員は、「新興国通貨の混乱が グローバルにどの程度広がりを見せるか、読めない」と指摘。さらに FRBは、1月の連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で「新興国へ の配慮を欠いた」と受け止める。

読み切れぬ消費税反動

一方、国内では4月から17年ぶりに消費税率が引き上げられ、5% から8%になる。ブルームバーグのエコノミスト調査によると、実質国 内総生産(GDP)は1-3月期に前期比年率4.2%増と駆け込み需要 で伸びた後、4-6月期は4.1%減に急減速する見通し。政府の景気対 策などで増税の悪影響を吸収するとの見方はあるが、ミョウジョウ・ア セット・マネジメントの菊池真最高経営責任者(CEO)は、景気対策 で恩恵を受けるのは建設業で働く人たちなどに限られ、「景気への悪影 響はかなりストレートに出てくる」と厳しい読みだ。

世界的なマネーフローや為替、消費税増税など不安要素が存在感を 増す中で、国内企業決算の発表が相次いでいる。みずほ証券リサーチ& コンサルティングによると、東証1部企業(金融除く1223社)の37%に 当たる451社が1月31日までに13年4-12月期決算発表を終え、今期 (14年3月期)の予想経常利益は前期比39.5%増と、昨年12月末時点の 予想値41.4%増からやや下振れている。

クレディ・スイスのアジア・新興市場担当のストラテジスト、シャ クティ・シバ氏は「日本では企業業績の上方修正モメンタムが衰退しつ つある」とし、相対的な投資魅力も薄れてきたと言う。主要企業では、 任天堂が14年3月期の連結営業損益予想を1000億円の黒字から、350億 円の赤字に下方修正。キヤノンの13年12月期の連結営業利益は前の期に 比べ4.1%増の3373億円と、従来計画(3600億円)を下回った。

「円安が進んできたにもかかわらず、輸出数量が伸びず、日本企業 の競争力に疑問符が出てきている」と話すのは、しんきんアセットマネ ジメント投信運用部の藤本洋主任ファンドマネジャーだ。来期以降は、 「消費税増税による需要の減少がボディーブローのように効いてくる」 リスクもあり、「日本に対しいつまでも強気ではいられない、と考える 投資家が出てきてもおかしくない」とみる。

利益確定か、評価姿勢に変化か

株式需給面では、日本株の売買代金シェアで約6割を占める海外投 資家が1月20-24日の週まで3週連続で売り越し中。同週の売越額は1 年10カ月ぶりの大きさに膨らみ、年間買越額が史上最大の15兆円超とな った昨年の投資姿勢とは明らかに変化が見える。

英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループのウェル スマネジメント子会社、クーツのアジア・中東の最高投資責任者である ガリー・ドゥーガン氏は「投資家は目下、株式を敬遠し、利益確定売り に動いている」と言う。米バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが毎 月行う世界のファンドマネジャー調査では、1月の日本株の配分状況は プラス26%と13カ月連続でオーバーウエート。ただ、前の月からは8ポ イント減っていた。

もっとも、市場関係者の間で弱気ムードが一気にまん延している状 況にもないようだ。SMBC日興証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジ ストは、「複数のリスク・ファクターが一気に顕在化した」と見る半 面、「最も重要なのはファンダメンタルズの方向性が変化していない 点」と強調。新興国通貨の下落も、米長期金利が落ち着いている点を踏 まえれば、長期化のリスクは小さいとし、「世界的な株価調整は長期化 せず、遅くとも2月上旬に調整が一巡する公算が大きい」と予想する。

三菱UFJ投信の宮崎高志戦略運用部長は、「仮に新興国のネガテ ィブ・フィードバックが米国の景気を冷やすようであれば、FRBがテ ーパリング(量的金融緩和の縮小)を今のペースから少し緩めてくるの で、それが下支え要因になる」との見方だ。基本的には、今の経済環境 で「大きく悲観に傾く必要はない」としている。

4日の日本株は大幅に4日続落し、日経平均終値は前日比610円66 銭(4.2%)安の1万4008円47銭と、約4カ月ぶりの安値水準を付け た。新興国情勢に対する警戒感に加え、米供給管理協会(ISM)によ る製造業総合景況指数が市場予想以上に低調だったことも響いた。

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