元野村の伊東氏がクラウドファンディング会社、三つ星シェフ弁当

野村証券出身の伊東修氏(34)が、 インターネットで不特定多数の投資家から資金を募るクラウドファンデ ィング会社を設立した。企業はベンチャーキャピタルに頼らなくても、 企画段階から事業資金を得られる。1号案件は自ら発案した三つ星シェ フによるダイエット弁当会社向けに1口50万円で計3500万円募る予定。

社名は株式会社クラウドファンディングで、昨年11月に野村証出身 の2人と設立、第2種金融商品取引業登録を申請している。伊東氏はブ ルームバーグ・ニュースとのインタビューで資金募集する事業について 「次の時代を創る案件以外はやらない」と述べた。1号案件は、5年連 続でミシュランガイド三つ星に輝いた「青山えさき」の江崎新太郎氏が 開発した低糖質・低カロリー弁当の製造販売事業を予定している。

インターネット上で案件について掲示板を用意し、事業について誰 でも意見交換できるようにした。投資リターンは製品やサービスを充て るのではなく、事業収益の一部を分配金として払う投資型だ。同社は、 投資家が利益を受け取るまでは無報酬、投資家が利益を受け取ったのち は売り上げに対して3%を受け取る成功報酬となる。

伊東氏は02年4月に野村証券に入社。2年目以降から3年連続で新 規開拓営業で全国トップの成績を残した。06年に旧モルガン・スタンレ ー証券に移籍し、機関投資家や事業法人に金融商品を販売。営業先の企 業の状況を調べ上げ「成功事例、失敗事例を見てきた」という。12年間 の証券会社勤務で培った経験を活かし、資金が集まりやすい事業ではな く、世の中の流れを見て投資にリターンが見込める事業を目利きする。

三つ星弁当

伊東氏はカロリーや糖質を抑えた商品が売り上げを伸ばしている点 に着目。日本には糖尿病患者とその予備軍が6人に1人の割合でいるた め、美味しいだけではなくヘルシーな弁当に需要があるとみた。半年以 上かけて有名店などを調査し、その中でも突出して美味しかった江崎氏 に白羽の矢を立てた。

自身のお店以外には手を出さないと決めていた江崎氏。伊東氏は事 業内容や想いを伝えるため、自ら作ったヘルシーハンバーグなどを手作 りし、足繁く通って口説き落とした。半年以上かけて500キロカロリー 以下、糖質40グラム以下に抑えた弁当を開発。江崎氏は「社会貢献がし たかった。将来的には病院などでも扱ってほしい」と述べた。

江崎氏は1月10日に弁当を製造販売する「おいしいプラス」の会長 に就任。今春にも丸の内などで1食880円程度で販売したい意向だ。売 上高は1年目が5000万円、2年目8000万-9000万円、3年目以降1 億2000万円を見込んでいる。投資家は売り上げに対して年10-13%を受 け取り、契約期間の6年間で計170%を目指す。海外展開も検討する。

ベンチャーとの違い

ベンチャーキャピタルが出資するのはある程度会社の形態になって からで、伊東氏は「必要としている事業に必要な段階でリスクマネーを 供給するのが金融のあるべき姿」と指摘する。米調査会社のMasso lutionによると、クラウドファンディングによる資金調達規模は 世界全体で2013年は50億ドル(約5100億円)と、前年比倍増の見込み。

住宅ローンを除いた日本の個人金融資産は世界1位。伊東氏は「米 国の規模を超える市場になる潜在性があり、その市場をつくる会社の1 つになりたい」と意気込みを示した。今後は付加価値のある事業プラン を持った人と投資家の仲介にも取り組む。

金融審議会は昨年12月、投資型クラウドファンディング仲介者の参 入要件緩和や、投資家保護などを盛り込んだ報告書をまとめている。

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