ウォール街は今も「おおかみ」のすみか、映画の時代から20年後

ポール・タボアダ氏はウォール 街120番地でチャールズ・モーガン証券を経営していた。しかしトラブ ルが生じ、顧客の1人が2010年に刑務所入りすると、当局の調査対象と なった同社を閉鎖。今度はウォール街100番地のブラックウェル・キャ ピタル・マーケッツに移った。そこでは見習いが毎日、何百人もの見知 らぬ人に電話をかけ株式を売り込んでいた。

映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」では株式ブローカーの ジョーダン・ベルフォート氏と同氏のストラットン・オークモントが投 資家から2億ドル(約204億円)余りを詐取した事件が描かれたが、こ の事件から20年後、ウォール街では今でも「ベテラン勢」が昔ながらの セリフで投資家を投機に誘っている。現・元ブローカーら40人余りがイ ンタビューで述べた。

ニューヨークのリットホルツ・ウェルス・マネジメントのジョシュ ア・ブラウン最高経営責任者(CEO)によると、こうした株のセール スマンらは「いまだに固定電話に出る人を標的にしている。50人にある 銘柄を勧め、50人に別の銘柄を勧める」のだという。

ニューヨーク証券取引所の周辺にはブローカーらが「チョップショ ップ」と呼ぶこんな会社が、少なくとも15ある。大手金融機関はウォー ル街60番地にあるドイツ銀行を除き、もっと大きなオフィスの持てるマ ンハッタンの別の場所に移ってしまった。

40番地の72階建て高層ビルには電話で精力的に証券投資勧誘を行う 会社が3軒入っている。1920年代にマンハッタン・カンパニー(JPモ ルガン・チェースの前身)のために建設され、現在はトランプ・ビルデ ィングと呼ばれるこのビルにはほかに、当局の調査対象となっている証 券会社2社も入っている。

月2万ドルも

2011年に17階にあるジョン・キャリス・インベストメンツで働いて いたショーン・スコット氏(27)は、良い月には電話による株の売り込 みで2万ドルが稼げたと言う。同氏は現在はバンク・オブ・アメリカ (BOA)メリルリンチでアドバイザー(フロリダ州在勤)をしてい る。

電話による投資勧誘は違法ではないし、こうしたチョップショップ はどこでも少なくとも何人かは履歴上で何の問題もない従業員を雇って いる。1990年代に問題が起きた理由は、密かに保有している価値の低い ペニー株をブローカーを使って無防備な投資家に売りつけたことが大き かった。この取引は利益率が高いため、ブローカーに20%のコミッショ ンを支払うこともできた。

今はそんなにうまい話はない。見習いの週給は250-300ドルで、何 カ月も何も売れないこともある。

電話勧誘は今や、03年に連邦当局が導入した措置によって制限され 社会的にも受け入れられにくくなった。株式のオンライン売買が10ドル 程度でできることや、資金を払い込む前にはそのブローカーの実態をグ ーグルでチェックした方がいいと大半の人が知っている。

ストラットンの社長で、証券詐欺罪で2年ほど服役したダニー・ポ ーラッシュ氏は昨年の電話インタビューで、「ストラットン・オークモ ントはインターネット時代の前のものだ。ある銘柄を言われて2回クリ ックすれば全てが判明してしまう今の世の中では、状況はますます厳し くなるばかりだ」と話した。

だからといって、ブローカーがあきらめるわけではない。ウォール 街の住所を名乗って見習いは電話をかけ続け、良い投資先について後で 社長が電話をすると持ちかける。数百人が直ちに電話を切るが、1人は 耳を貸すという。

原題:Wall Street Attracts Chop Shops 20 Years After Belfort’s ‘Wolf’(抜粋)

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