日経平均年末に9000円も、来期以降の減益反映-ミョウジョウ

ロング・ショート戦略で日本株を運 用するミョウジョウ・アセット・マネジメントの最高経営責任者 (CEO)で、「円安恐慌」の著書でも知られる菊池真氏は、ことしの 年末に日経平均株価が9000円まで下落する可能性があると予想した。企 業業績の先行きを弱気にみていることが最大の理由だ。

菊池氏はこのほどブルームバーグ・ニュースのインタビューで、日 本株市場全体の来期業績は「10-15%の増益どころか、2割程度の減益 を見込んでいる」と述べた。国内では消費税増税、海外は新興国経済の 減速が響き、内外双方で「マイナス要因が大きくなる。増益が続くとの 見方は疑問だ」と言う。

野村、大和、SMBC日興の大手証券3社による主要上場企業(除 く金融)の2014年3月期の経常利益予想はおおむね前期比4割近くの増 益。15年3月期については、野村で今期予想比11%増、大和で12%増、 SMBC日興で13%増を見込む。これに対し菊池氏は、日経平均の1株 純利益(EPS)が今期の1000円程度から来期は800円に減少、再来期 はさらに600-700円まで落ち込むと予想している。

国内では4月から、消費税率が5%から8%に引き上げられる。市 場では、景気対策の効果で増税の悪影響は軽微との見方が多いが、菊池 氏は「増税負担は消費者全員。一方で、景気対策で恩恵を受けるのは建 設業で働く人たちに限られる」と指摘し、ミスマッチによる「景気への 悪影響はかなりストレートに出てくるだろう」との見方を示した。

賃上げの動きについても、同氏は「タイムラグがある。所得の増加 が物価の上昇に追いつかないのは確実」とし、企業の業績は消費者の倹 約による減収圧力、円安による輸入物価の上昇を受けたコスト増と「両 サイドから圧迫される」と読む。

新興国のジレンマ、世界の金利は上昇へ

海外情勢について菊池氏は、中国やインド、ブラジルなど新興国の 景気がもう一段落ち込む可能性が高いとみている。「景気のスローダウ ンを覚悟の上で、通貨を防衛してインフレをコントロールするため、引 き締め気味の金融政策を取らざるを得ない」ためだ。また、世界的な金 融緩和を受けて流入した投資マネーが徐々に引き揚げられていくこと も、「ネガティブに作用する」と言う。

米国では、量的金融緩和策が縮小から終了の方向に向かい始め、 「世界的に長期金利が緩やかな上昇基調に入る」と同氏。世界の株式市 場のバリュエーションは方向性として低下し、米国株の予想PERが現 状の約15倍から過去平均の14倍程度に下げても不思議でない、とした。 日本株のPERについても、並行して低下する可能性を見込む。日経平 均の今期予想PERは30日時点で15.4倍。

日本株に先安観を持つ菊池氏も、当面の日経平均は1万4500円-1 万6000円のレンジでもみ合う展開を想定。日本銀行が異次元緩和の実施 から丸1年に当たる4月7-8日開催の金融政策決定会合で追加緩和に 動き、その際に潮目の変化が訪れるとみる。「消費税増税が始まる月で もあり、非常に理屈を付けやすい。黒田東彦総裁は理屈・大義名分を重 んじる」と指摘。追加緩和を受け1ドル=105円を大きく超える円安に なり、日経平均はレンジ上限を超える可能性もあるとしている。

春先の追加緩和が「株のピーク」

同時に、「そこが株のピークになる」というのが菊池氏の見立て だ。早ければ、決算発表が始まる4月下旬から5月の大型連休前後、遅 くとも消費税増税の影響が出る14年4-6月期決算が明らかになる7、 8月には「悲観的な見方が強まり、株価はピークアウトし、明確な下落 トレンドに入っていく」と予想。これまでの業績押し上げ要素の1つだ った円安も、いったん株価が下落基調に転じれば、「今度は円安が弊害 だ、という見方に変化してくる」と話す。

円安のメリットは増益要因として大きくない半面、輸入物価の上昇 を通じ個人、企業のコスト負担が増すと同氏。このまま円安が進むと、 「日本にとってまずいという話が出始めるだろう」とし、この段階で来 期や再来期の減益懸念が高まり、日経平均が1万円を割り込むとみる。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の調べでは、全産業(電気・ガス 除く)の13年度営業増益率予想28%の内訳を、円安効果で12%、実体効 果で16%としている。

「売りでもうける手法を認識しなければいけない」と言う菊池氏 は、個人なら信用取引や先物の活用に加え、現物口座しかない向きも「 インバースETFを買う手法がある」と指南。また、海外景気や消費税 増税の影響を受けにくい中小型株への個別投資も有効とする。業種で は、米景気回復がプラスに寄与する自動車株は底堅いとみる一方、輸入 物価の上昇が直撃する化学や鉄鋼、パルプ・紙など素材は厳しいとし た。

同氏による14年末の日経平均予測値の9000円は、再来期の予想 EPS600円を基準にしたPERで15倍。ブルームバーグが昨年末にま とめた証券会社のストラテジスト、運用会社のファンドマネジャー12人 による14年末の中央値1万8000円の半値水準で、30日終値(1万5007円 6銭)を40%下回る。

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