円が底堅い、新興国懸念で買い圧力くすぶる-対ドル102円台前半中心

東京外国為替市場では円が底堅く推 移した。新興国市場をめぐる先行き不透明感から、リスク回避を背景と した円買い圧力が根強く残った。

午後3時43分現在のドル・円相場は1ドル=102円44銭前後。朝方 には102円08銭まで円が上昇。午後の取引では一時前日比500円を超えて 下落していた日経平均株価が下げ渋る展開になると、円買いの動きもや や弱まり、102円53銭まで円安方向に振れる場面もあった。

楽天証券の相馬勉債券事業部長は、新興国の状況を見て、米国の量 的緩和縮小ペースが緩むという「淡い期待」も一部であったと思うが、 連邦公開市場委員会(FOMC)では予定通り緩和縮小を進めていく方 針が示され、リスク資産を落とす動きが広がったと説明。「米量的緩和 政策下でこれまで資金が入り込んできたのが、実際に縮小ということに なってしまえば、当然それは逆流するのは目に見えている」とし、昨年 来の円安進行のスピードは見込みにくくなったと話す。

半面、相馬氏は、米金融当局は当然、市場の反応も考慮していたと 思われるとし、「手が付けられない状況にならないというある程度の自 信はあったと思う」と指摘。「新興国の動揺が底なし沼に入っていく感 じはなく、先進国の回復軌道を妨げるほどではない」うえ、消費増税後 の国内景気減速が予想される中、日本銀行の次の一手への期待も残るこ とから、「極端な円高にはならない」とみている。

新興国の通貨安懸念

南アフリカ準備銀行(中央銀行)は29日、通貨防衛に向け、市場の 予想に反して政策金利を引き上げたものの、ランドは対ドルで2008年10 月以来の安値で推移した。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、新興国の中央銀 行は「通貨の下落に対応する明確なメッセージを出している」としなが らも、米国の量的緩和縮小が進められている状況下で、「市場から投資 資金が逃げ、新興国通貨は売られやすい」と話していた。

そうした中、29日の米株式相場は主要3株価指数がそろって下落。 この日の東京株式相場も日経平均株価の下落幅が前日比で一時500円を 超え、大幅反落で取引を終えている。

この日の午前には、英HSBCホールディングスとマークイット・ エコノミクスが1月の中国製造業購買担当者指数(PMI)改定値 は49.5と速報値の49.6から下方修正された。昨年12月の50.5から低下 し、製造業活動の拡大と縮小の境界線となる50を割り込んだ。中国株を はじめとして、アジアの株式相場はほぼ全面安となっている。

FOMCは28、29日に開催した定例会合で、債券購入額を100億ド ル縮小し、月650億ドルにする方針を決めた。声明によると、失業率 が6.5%を上回り、今後1-2年のインフレ率が2.5%以下にとどまると 予想される限り、政策金利をゼロ近辺にとどめる方針は維持した。労働 市場については、「指標はまちまちだったが、ならして見るとさらなる 改善が示された」と指摘。「失業率は低下したが、なお高い水準にあ る」とした。

バークレイズのFXストラテジスト、逆井雄紀氏(ニューヨーク在 勤)は、FOMCについて、12月の米雇用統計が弱かったので、多少ス タンスを変えてくるのではないかとみる向きもあったと思うが、声明で は「それほど気にしていない」様子が読み取れると指摘。新興国の混乱 にも特に言及されていないため、「とりあえず当面は国内要因だけで動 くということで、連邦準備制度理事会(FRB)としてはこのペースで 経済が回復していけば、粛々と緩和縮小を続けていくというのを確認で きた」としている。

--取材協力:大塚美佳. Editors: 崎浜秀磨, 青木 勝

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