湾岸産油国が上位独占-フロンティア市場の有望投資先番付

アラブ首長国連邦(UAE)の金融 センターであるドバイでは、2012年の後半には株式相場の上昇が街角で も感じられたと、シュア・アセット・マネジメントのシニア・エグゼク ティブオフィサー、アメル・カーン氏は振り返る。

カーン氏によれば、商業地区にはまるでライトアップされて舞うよ うに演出された噴水を見ようと、観光客が再び殺到した。交通渋滞が頻 発し、小売売上高が伸び、空港利用者が増加したのも相場上昇のシグナ ルだった。「経済面では相場が急騰する前からその兆しが見えていた。 待ち望まれた相場上昇がついに実現した」と同氏は話す。

ドバイ株の指標は2年にわたる低迷期を経て、13年のリターンは配 当再投資ベースでプラス117%と、世界をリードした。ブルームバー グ・マーケッツ誌3月号が伝えている。シュア・アセットの運用資産は 同年9月末時点で7億8000万ディルハム(約219億円)。カーン氏の「 アラブ・ゲートウェイ・ファンド」は中東・北アフリカ全般に投資 し、39%のリターンを上げている。

ドバイの好調はカタールとUAE、サウジアラビアのペルシャ湾岸 3カ国の躍進によるものだ。3カ国はブルームバーグ・マーケッツ誌が まとめた今年で3回目のフロンティア市場有望投資先ランキングで上位 に浮上した。

これとは別に新興国市場有望投資先ランキングではアジア3カ国が 上位を占めた。首位は3年連続で中国で、韓国とマレーシアが続いた。

19の評価基準

ブルームバーグ・マーケッツ誌のランキングは、向こう2年間の国 内総生産(GDP)予想やビジネスのしやすさなど投資環境に関する19 の評価基準を基にまとめた。湾岸諸国の台頭はブレント原油が3年連続 で1バレル=100ドルを上回る水準に高止まりし、産油国が莫大な石油 収入を経済の多角化に活用したことが背景にある。

カタールとUAEは、株価指数を算出するMSCIから新興市場へ の仲間入りを認められるレベルに達している。MSCIは貿易量や外国 人投資家への規制、企業統治、通貨や政治の安定性といったさまざまな 尺度を使って新興市場やフロンティア市場を指定している。MSCIは 昨年6月11日にカタールとUAEのステータスについて、今年5月にフ ロンティア市場から新興市場に格上げすると発表した。

ドバイの銀行エミレーツNBDの資産運用部門で最高投資責任者 (CIO)を務めるアルジュナ・マヘンドラン氏は「これらの国では建 設が急増している。高速鉄道や空港などのインフラを整備した2000年代 の中国をほうふつさせる動きだ」と指摘した。

成長ペース加速

国際通貨基金(IMF)によると、中東で最大の規模を誇るサウジ アラビア経済は、13年末までの10年間に平均で5.9%成長し、それに先 立つ10年間の2.3%から成長ペースが加速。世界平均の3.8%を上回る伸 びとなっている。カタールは14年に5%の成長が見込まれ、サウジや UAEの約4%を上回る見通し。

13年のフロンティア市場は全体的に新興市場よりも収益性の高い投 資先だった。アナリストは14年もこうした傾向が続く公算が大きいと指 摘している。MSCIフロンティア市場指数は13年に21%上昇して MSCI新興市場指数を上回る値上がりとなった。両指数の上昇率の差 は26ポイントと、年間ベースで05年以来最大にまで開いた。フロンティ ア市場指数を構成する26カ国の企業収益は5年ぶりの高水準となった一 方、ブラジルとロシア、インド、中国のBRIC諸国4カ国が中心とな るMSCI新興市場指数を見ると、企業収益は11年のピークを11%下回 っている。

新興国低迷

中国経済の新たな減速の兆候やウクライナの暴動などを背景に新興 国通貨はここ1週間、急落に見舞われた。途上国の株・債券など高利回 り証券の需要を押し上げてきた量的緩和策について、米連邦準備制度理 事会(FRB)が昨年5月に縮小開始の可能性を示唆して以来、新興国 株式市場の時価総額は1兆1000億ドル(約113兆7000億円)強失われて いる。

BRIC諸国でブルームバーグの新興国番付上位10位内に入ったの は中国だけ。テンプルトン・エマージング・マーケッツ・グループのマ ーク・モビアス会長は「中国は成長を続けるだろうが、以前より鈍いペ ースになる」と述べ、「改革プロセスがボラティリティ(変動性)を高 める結果につながるだろう」と予想した。

中国の13年の成長率は前年と同じ7.7%。ブルームバーグのエコノ ミスト調査では14年は7.4%成長となる見通し。成長鈍化による企業収 益の伸び悩みで、上海総合指数の13年のリターンは配当再投資ベースで マイナス3.9%に落ち込んだ。

他のBRIC諸国は低迷している。ブルームバーグの新興国番付 で21位だったインドは、昨年9月時点で4四半期続けて成長率が5%割 れとなった。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P) は11月、インドの格付けをジャンク級(投機的水準)に引き下げる可能 性を示した。

米的緩和縮小響かず

新興国番付で15位のブラジルは7-9月(第3四半期)GDPが前 期比0.5%減と、09年1-3月(第1四半期)以来の大幅な落ち込みと なった。同14位のロシアは13年のGDP伸び率が1.3%と、09年以来の 低成長だった。プーチン氏が12年3月の大統領選で再選を果たして以 来、ロシアの成長率は減速もしくは横ばいが続いている。

LRグローバル・パートナーズのCIO、ショーン・ウィルソン氏 は、米量的緩和の縮小決定を受けた投資家のリスク回避の動きに新興市 場はある程度振り回されたが、フロンティア市場にはあまり響かなかっ たと分析。フロンティア市場に「重要なのは国内消費の伸びやインフラ 支出、改革、金融サービスセクターの拡大と深化だ」と述べた。

原題:Gulf Nations Gushing With Oil Top List of Best Frontier Markets(抜粋)

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