信託商品救済でしっぺ返しも-シャドーバンキング拡大の恐れ

中国の富裕層向け高利回り信託商品 の期限ぎりぎりでの救済劇は、6兆ドル(約616兆円)規模に膨らんだ 中国本土のシャドーバンキング(影の銀行)への資金流入を促す可能性 があり、過度なリスクテーク抑制を目指す当局の取り組みを損ねる恐れ がある。

中国最大の銀行、中国工商銀行は同行が販売した30億元(約510億 円)の信託商品を購入した投資家に対し、元本返済を受けるための権利 を不特定の買い手に売却することができると伝えた。この商品は償還期 限が今月末に迫っていた。広州の投資家の1人によれば、同行の提案受 け入れの期限である29日午後5時(日本時間同6時)を前に利息の支払 いを求め工商銀の支店を訪れることを計画している投資家もいる。

中国で最大となる信託商品のデフォルト(債務不履行)は回避され た。だが信託商品には暗黙の保証があり、政府がこうした高リスク商品 を支えるとの投資家の見方を強める可能性もあり、1兆6700億ドル規模 の信託市場への投資意欲をあおることも考えられる。

世界2位の経済大国となった中国は政府の役割を減らし債務削減に 努めているものの、今回の救済劇は金融と社会の安定維持をめぐる当局 への圧力が浮き彫りとなった。

BOCインターナショナル・ホールディングスの張戩ストラテジス ト(北京在勤)は、「救済策は市場に短期的な安心感をもたらしたが、 長期的な危機を生むかもしれないという代償を払った。モラルハザード (倫理観の欠如)の問題を悪化させ、信託やウェルスマネジメントなど シャドーバンキング商品への投資で投資家自身が引き受けなければなら ないリスクをほぼなくしてしまった」と述べた。

--Jun Luo, 取材協力:Helen Sun、Zhang Dingmin. Editors: Chitra Somayaji, Russell Ward

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