円が7週ぶり高値、新興国不安でリスク回避先行-一時101円台

東京外国為替市場では、円が対ドル で約7週間ぶりの高値を付けた。中国の信託商品のデフォルト(債務不 履行)懸念や新興国市場に対する不安からリスク回避にの円買いが先行 し、一時1ドル=101円台に突入した。

ドル・円相場は早朝に102円台を割り込み、一時101円77銭と昨年12 月6日以来の水準まで円高が進行。円買い一巡後はじりじりと値を戻 し、午後には102円54銭を付けた。3時55分現在は102円48銭前後で推移 している。

みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、アルゼンチン や中国への不安に加え、トルコの政治リスクなどもある中で、米国の量 的緩和縮小への不安が生じ、「全般的にリスクオフの雰囲気を強めてい る」と指摘。今週は円の上値を試す展開になりやすいとの見方を示し た。

ユーロ・円相場も1ユーロ=140円台前半から一時、先月6日以来 の水準となる139円20銭まで円高が進行。その後140円台を回復し、同時 刻現在は140円21銭前後。一方、ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.36ド ル後半でもみ合う展開が続いた。

リスク回避

中国では、炭鉱会社の資金調達を目的に組成され、中国工商銀行が 販売した30億元(約510億円)相当の信託商品について、今週予定され ている償還ができなくなるとの観測が広がっている。投資家は23日に工 商銀の上海支店を訪れ資金の払い戻しを要求。事情に詳しい関係者によ ると、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)は地域支部に対し、石炭業 界の信用リスクの精査強化を指示した。

先週はアルゼンチン・ペソ急落や中国工業生産縮小の可能性を示唆 するデータに加えて、トルコ・リラや南アフリカ・ランドの下落で不安 心理が台頭。新興国株は、米連邦準備制度理事会(FRB)が債券購入 策の縮小開始の可能性を示唆した昨年5月以来で最大の下げを演じた。

また、欧米株式相場も週末に6月以来の大幅安を記録。27日のアジ ア株式相場は全面安となり、日経平均株価は一時、日中ベースで約2カ 月ぶりに1万5000円を割り込んだ。

リスク回避の動きが強まる中、外国為替市場では相対的に安全とさ れる円やスイス・フランが買われ、円は対ドルでも23日以降、104円台 後半から2円以上上昇している。

野村証券金融市場調査部の池田雄之輔チーフ為替ストラテジスト は、この日行った緊急カンファレンスコールで、先週後半以降の動きは 「かなり突発的なポジション調整が連鎖してしまったという色彩が強 い」と指摘。週内は「FOMC(米連邦公開市場委員会)による追加的 なテーパリング(量的緩和縮小)でリスク資産の下押しという結果にな ることは十分想定しなくてはならない」とし、短期的にはドル・円相場 がさらに下振れる可能性があると話した。

一方で、池田氏は、消費税率引き上げ前の駆け込みで輸入が増えて いるこの局面で、日本の貿易赤字は市場予想を上回る可能性があると し、年間で10兆円を超える実需の円売りが見込まれる中、ドル・円相場 の101円から102円台というのは押し目買いのポイントになるとの見方も 示した。

この日発表された日本の12月の貿易収支は1兆3021億円の赤字とな った。また、同時に発表された2013年の貿易収支は11兆4745億円と過去 最大の赤字を記録した。

--取材協力:三浦和美. Editors: 青木 勝, 山中英典

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