日本株1カ月ぶり安値、リスク回避で全業種売り-新興国警戒

東京株式相場は大幅続落。中国の経 済統計の低調をきっかけに前日の欧米、新興国株式が下げたほか、為替 市場で円高が進んだ影響で、投資家のリスク回避姿勢が強まった。銀行 や保険など金融株、電機など輸出関連、鉄鋼など素材関連株中心に幅広 く売られ、東証1部33業種は全て安い。

TOPIXの終値は前日比22.92ポイント(1.8%)安の1264.60、 日経平均株価は304円33銭(1.9%)安の1万5391円56銭。TOPIXは 昨年12月25日、日経平均は同17日以来、およそ1カ月ぶりの安値水準に 沈んだ。

三菱UFJ投信・株式運用部の小西一陽チーフファンドマネジャー は、「株の下げが新興国の通貨安に波及し、いったんはリスク回避の動 き。ただ、日本株は昨年末にかけて上げた分をほぼ帳消しにしており、 そろそろ良い水準まで到達している」と話していた。来週からは、国内 で決算発表が本格化するため、「ファンダメンタルズで戻るイメージを 予想している」と言う。

日本時間23日午前に発表された中国の製造業購買担当者指数 (PMI)の悪化を材料に、きのうの米ダウ工業株30種平均は1カ月ぶ りの安値を付けた。ドイツやフランスなど欧州株も安く、ブラジルのボ ベスパ指数が2%安となるなど新興国の下げもきつかった。海外市場の 反応を受け、きょうの日本株はあらためて売り直され、午後の日経平均 は先物主導で一段安。終盤には、下げ幅が一時400円を超えた。

きのうの為替市場では、アルゼンチン・ペソやトルコ・リラなど新 興国通貨が売られ、米国で株安と金利低下が進んだ影響で、ドル・円は 1ドル=102円90銭台まで円高に振れた。きょうの東京市場での取引 も、103円台前半ときのうの東京株式市場の終値時点104円39銭に比べ円 高水準で推移した。

アルゼンチン、欧州銀への影響懸念も

新興国株式と通貨安は、市場参加者の心理に暗い影を落とし始め た。アルゼンチン経済は、2001年に国債が債務不履行(デフォルト)と なったとき以来の厳しい状況にあり、シティグループ証券の高島修チー フ為替ストラテジストは、警戒すべきポイントの1つとして「欧州系金 融機関に与える影響」を挙げた。同氏によると、アルゼンチン向けクロ スボーダー与信の総額455億米ドルのうち、欧州系銀行が7割を占め る。

業種別では、輸出や素材関連と並び、金融株の下げが目立った。き のうの米S&P500種の業種別10指数で、金融セクターが値下がりトッ プだった影響を受けた。三菱UFJ投信の小西氏は、「保険や銀行は株 安が直接マイナスの影響を与える上、グローバルでの金融不安が連想さ れている可能性もある」としていた。

もっとも、市場関係者の間では相場の先高観がなお根強いようだ。 野村証券投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジス トは、「日本企業の業績上振れ余地はまだまだあり、来期ベースで見た 現状水準の日本株は割安」と指摘。立花証券顧問の平野憲一氏は、需給 面で「NISA(少額投資非課税制度)資金が集まっている上、個人は 昨年9兆円近く売り越しており、現金を持って物色している」と話す。 東証が23日に公表した1月14-17日週の投資部門別売買動向では、個人 は2週連続で買い越し、買越額は1000億円を超えていた。

売買代金3兆円乗せ

東証33業種の下落率上位は保険、倉庫・運輸、鉄鋼、非鉄金属、そ の他金融、銀行、電機、その他製品、医薬品、機械など。売買代金上位 では、4月から定額料金制導入と一部で報じられたソフトバンクが下 落。トヨタ自動車や三井住友フィナンシャルグループ、日立製作所、安 川電機、ホンダ、パナソニック、新日鉄住金、オリックスも下げた。こ れに対し、月次売上高の伸びた日東電工は上昇。第一工業製薬、スクウ ェア・エニックス・ホールディングス、三井化学、グリーも高い。

東証1部の売買高は31億7493万株、売買代金は3兆810億円。代金 は株価指数先物の特別清算値(SQ)算出日だった昨年12月13日以来、 3兆円台に乗せた。SQ日を除くと、同7月19日以来。値上がり銘柄数 は115、値下がりは1620に達した。1部市場が厳しい動きとなった中で も、マザーズ指数は0.6%高の1021.90と反発した。

--取材協力:竹生悠子 Editor: 院去信太郎

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