安倍首相:アジア諸国は軍備拡張の抑制を-ダボス会議で基調講演

安倍晋三首相は22日午後(日本時 間23日未明)、スイスの世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で 日本の首相として初めて基調講演を行い、アジア諸国は軍備拡張を抑制 し、成長の果実をさらなる経済成長のための投資に振り向けるべきだと 訴えた。アジアでは尖閣諸島をめぐり日本と緊張関係にある中国が軍事 費の拡大を続けているが、名指しは避けた。

講演は英語で行った。アジアで「平和と安定が損なわれれば、世界 全体に大きな影響を与える。成長の果実は、軍備拡張に浪費されるので はなく、さらなる経済成長を可能にする、イノベーションや、人材育成 にこそ、投資されるべきだ」と軍事費拡大への動きをけん制した。

さらに、「アジア地域において、際限なく軍備が拡張されることを 抑制しなければならない。軍事予算を徹底的に透明にし、検証可能なか たちで公表すべきだ」と主張。「危機管理のためのメカニズム、軍同士 のコミュニケーション・チャネルを整備すべきだし、海洋に関する国際 法に基づいた行動を促すルールを整えていかないといけない」とも訴え た。

中国は2013年の軍事費を10.7%増の7406億元に拡大。日本政府は昨 年決定した国家安全保障戦略で中国の軍事動向はその透明性の不足とあ いまって「国際社会の懸念事項」と明記している。日中関係は、12年9 月の日本の尖閣諸島国有化を受けて緊張が高まり、中国は13年11月に東 シナ海に独自の「防空識別圏」を設定した。安倍首相の就任以降、首脳 会談は開かれていない。

首相はアジアや世界の平和と繁栄にとって「必要なのは緊張でなく 信頼、武力や威嚇でなく、対話と法の支配だ。アジア地域を武力と威嚇 でなく、信頼と秩序の地域としていくために、アジアとそして世界へ向 けて訴えたい」とも述べた。

カナダのグローブ・アンド・メール紙は、安倍首相がダボスで一部 メディアに対し、現在の日中関係を緊密な経済関係にありながら第1次 世界大戦に至った当時の英国とドイツの関係と似ていると語った、と報 じた。

これに対し、菅義偉官房長官は23日午後の記者会見で、安倍首相は 当時の英独が戦争に至った歴史的経緯があったことを指摘した上で、同 様なことになってはならないとの考えを示した、と事実関係を説明。菅 氏は首相が中国と軍事衝突に至るシナリオに言及したという見方につい て聞かれ、「まったくそう思わない」と否定した。

アベノミクス

基調講演で首相は自らの経済政策「アベノミクス」の今後の課題に ついても説明。日本の法人課税の在り方について「国際相場に照らして 競争的なものにしなければならない」と言明。復興特別法人税の廃止に よる実効税率の引き下げや投資減税などに加え、14年は「さらなる法人 税改革に着手」する方針を明らかにした。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革にも言及。「ポ ートフォリオの見直しを始め、フォーワード・ルッキングな改革を行 う」との決意も示した。

日本経済に関しては「長く続いたデフレから、脱け出ようとしてい る。今年は、春に賃上げがあるだろう。久方ぶりの賃金上昇で、消費が 伸びる」との見通しも示した。

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