【コラム】日本のチェ・ゲバラか、スケール大きい政治家か

小さな選挙が大きな影響を持つこと がよくある。安倍晋三首相は沖縄県名護市(人口約6万人)の市長選挙 で何が悪かったのかをじっくり考えたいかもしれない。

今月19日に実施されたこの選挙で、安倍首相率いる自民党の候補は 現職の稲嶺進氏に敗れた。問題は名護市での敗北が2月9日の東京都知 事選にどう響くかだ。都知事選の結果は安倍首相の経済政策の根幹を揺 るがしかねない。

都知事選に出馬表明した細川護煕元首相を石原慎太郎元東京都知事 は資格がないと切り捨てた。しかし問題は資格ではなく、「脱原発」と いう政策にある。原子力発電所の再稼働を望む安倍首相の陣営は細川氏 を、その政策で国を後戻りさせる日本のチェ・ゲバラのように描こうと する。しかし、細川氏を支持する中には日本経済の改革者としてここ数 十年で最も名高い小泉純一郎元首相がいる。

安倍首相の経済政策アベノミクスや2020年の東京五輪開催への熱狂 の中で、東京から約200キロのところに放射能汚染地域があるのを忘れ ることはたやすい。東京電力の福島第一原発の事故で放射能が漏れ始め てからもうすぐ3年になる。地下水や太平洋がどれほど汚染されている のか分かったものではない。

2人の元首相はこの危機に光を当てることで国民の声に応えてい る。11年の東日本大震災から何らかの教訓を得るとすれば、それは日本 のような地震大国には原発を建設する場所などないということだ。

野田佳彦前首相とその前の菅直人元首相は、原子力業界寄りの政策 を転換しようとした。12年12月に就任した安倍首相が最初にしたことは それを覆すことだった。

「売り」か好機か

なぜか。高齢化社会で経済を再生するのに値段の高いエネルギーは 妨げになる。原子力に代わる代替エネルギーを見つけるのは困難だろ う。

ただ、それは利益をもたらす道でもある。小泉氏は昨年10月に脱原 発支持を打ち出し、代替エネルギー技術の開発や輸出が究極の成長産業 になり得ると指摘した。安倍首相は日立製作所などの企業のために原子 力技術を世界中に売り歩いているが、再生可能エネルギー関連の新世代 企業群は大量の雇用と富を生み出し得る。

安倍首相が行っていることは過去20年間と同じだ。疲弊した経済に 金を注ぎ込み、橋や高速道路を造り、円安でソニーなどを救済する。細 川、小泉両氏の構想の方がスケールが大きい。被爆国である日本が、地 球から原発をなくすことに成功すればまさにふさわしい話だろう。

自民党は細川氏を止めようと躍起だ。BNPパリバは細川氏が都知 事になれば日本株は「売り」だとの見方を示した。しかし私はそれを日 本にとって素晴らしい好機だと考える。私は大間違いをしているのだろ うか。 (ウィリアム・ペセック)

(ペセック氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。コラ ムの内容は同氏自身の見解です)

原題:Tokyo’s Nuclear Brawl Is About the Economy, Too: William Pesek(抜粋)

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