任天堂社長に批判の声強まる、WiiU不振で業績下方修正

任天堂の岩田聡社長の経営手腕に対 して一部の投資家やアナリストの批判が強まっている。据え置き型ゲー ム機「Wii(ウィー)U」の販売不振などにより今期(2014年3月 期)の利益見通しの大幅下方修正を余儀なくされたためで、同社の株価 は売り圧力にさらされている。

岩田社長は今期の営業利益1000億円の達成をコミットメント(公 約)として掲げていたが、17日に同社が発表した今回の下方修正で は350億円の赤字となる見通しだ。このまま推移すれば3期連続の営業 赤字となる。年末商戦でハードウエアの販売が振るわず、ソフトウエア の売り上げが予想を大きく下回った。同社はWiiUの販売予想を69% 引き下げ、同機用ソフトについては半分に販売見通しを引き下げた。

SBIアセットマネジメントの取締役運用本部長、木暮康明氏は 「岩田社長の発言は方向性が違う。どうやっていくのかビジョンが見え ない」とした上で、「円安でなければもっと業績は悪かった」と述べ た。SBIアセットマネジメントは任天堂株を保有している。

岩井コスモ証券のシニアアナリスト、川崎朝映氏は想定外の赤字予 想となったことに「目先は株価調整リスクが高まった」とし、投資判断 を「B」から「Bマイナス」に引き下げた。またスマートフォン(スマ ホ)やタブレット端末が普及する中で、任天堂が強みを持つ「家庭用専 用ゲーム機の事業環境は厳しい」と指摘した。エース経済研究所の安田 秀樹アナリストは任天堂株を「アンダーパフォーム」に格下げするとと もに、目標株価を8000円に引き下げた。

責任論

岩田社長は17日の会見で、ビジネスの勢いを回復させるのが責任と して辞任を否定。任天堂は21日、岩田社長の責任について「岩田自身が 説明しており、それ以上のコメントはない」と電子メールで回答した。 同社株価は20日、一時、前営業日比19%安と11年7月以来の日中下落率 を記録したが21日も売りが先行。前日比2.4%安の1万3415円で取引を 終えた。

業績下方修正にみずほ投信投資顧問の青木隆シニアファンドマネジ ャーは「投資家との対話はこれでは難しい。早めにガイダンスを引き下 げるべきだった」と述べた。SMBC日興証券の前田栄二アナリストも 「中間決算の時点でほぼ未達になるのは分かっていた」とし、その時点 で今期予想を据え置いたのが「ミスリーディング」と批判した。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「本来ならば 辞めるのが筋。だが社内に人材がいないのだろう」とした上で、「岩田 社長に画期的なビジネスモデルの変革は期待できない」と述べた。

ソニーは昨年11月に「プレイステーション(PS)4」、米マイク ロソフトは「Xbox One(エックスボックス・ワン)」を投入。 これらに対し、任天堂は先手を打つ格好で、8月に欧米市場でのU値下 げに踏み切っていた。しかし、その後もUの販売は伸び悩み、下方修正 につながった。これまで円高対策のためにドル建ての支払いを増やして きたことも、製造コストの増加の一因となった。

功罪半ば

岩田社長は2002年、「中興の祖」の山内溥社長(故人)の後を引き 継ぎ、同社社長に42歳の若さで抜擢された。任天堂の家庭用ゲーム機向 けソフト開発メーカーのハル研究所出身のコンピュータープログラマー で、就任直前の会見では、ゲームソフトを商品にするまでの経営者的資 質を買われたと自己分析している。

11年に発売した携帯型ゲーム機「DS」の後継機3DSは、販売不 振により値下げと業績予想の下方修正の一因となったほか、12年に発売 したWiiUも欧米市場での値下げを強いられている。一方、3DSや WiiUの前モデルであるDSやWiiの販売台数は、昨年9月までに DSが1億5396万台、Wiiは1億台に達する大ヒットとなっている。

こうした実績からエース経済研究所の安田氏は、任天堂のビジネス を理解しているのは岩田氏以外に「見当たらない」と回答、「1度の失 敗で更迭していては、誰もいなくなる」と述べた。任天堂は29日に今期 第3四半期の決算を発表、30日には経営方針説明会を開き、今後の展望 を説明する予定。

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