【クレジット市場】国債より航空機、メガに続き地銀500兆円市場注視

格安航空会社(LCC)の事業拡大 などで世界的に資金需要が高まる航空機ファイナンス分野に、大手行だ けでなく中国銀行など地銀も乗り出そうとしている。地方経済の疲弊で 融資が伸び悩み、国債に代わる高収益の運用先を模索しているからだ。

BNPパリバの資料によると、12年物の航空機金融の民間融資部分 の平均金利は、ドル建て3カ月物ロンドン銀行間貸出金利( LIBOR)+150-200ベーシスポイント(1bp=0.01%)。金利水 準は国内での円建て融資平均のLIBOR+34bp(ブルームバーグ・ データ)を大きく上回る。

ボーイングの資料によると、現在、世界を飛び回る2万機の航空機 に対し、LCCの展開や老朽機体更新で、今後20年間で3万5000機以上 の新規需要が予想され、その総額は4.8兆ドル(496兆円)に達する見通 しだ。この資金ニーズを取り込もうと、三井住友フィナンシャルグルー プや三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクが近年、海外 の航空機リース事業を買収したほか、地銀の動きも活発化している。

中国銀行は昨年6月、12年ぶりに国際部を復活。同行国際部の真鍋 枝利子氏は、地域経済に根差した地銀は「どこでもそうだが、なかなか 貸出金が伸びないし、利ザヤがどうしても悪く、日本全体で金利が薄 い」とし、収益や需要の大きい航空機部門に参入する方針だという。

航空会社が機体を購入するには巨額な資金が必要であり、複数の金 融機関が協調融資を提供している。その取りまとめ役であるBNPパリ バなど外国金融機関も潤沢な地銀マネーに注目し、日本で資金集めに動 き出している。

地銀

日銀統計によると、全国銀行の預貸ギャップは昨年6月に過去最高 の189兆円を記録して以降、180兆円台で推移。中でも地銀は地元企業の 経営不振などから融資が伸び悩み、国債依存度が高い。昨年4月の異次 元金融緩和によるデフレ脱却期待から金利先高観があり、ブルームバー グ・データでは、15年3月末の10年債利回りのアナリスト予想は0.9% (20日は0.66%)。将来、保有国債が含み損を抱える恐れがある。

中国銀に先駆け、八十二銀行は1年半前から航空機ファイナンスを 手掛けている。ローンマーケットグループの村山尚武主任調査役は、 「国内だけでなく、海外も含めいいリターンを取れるものに投資して行 く」という考えで始めたと話す。海外関連の拠点や人材が限られる地銀 にとって、収益性が高い割にはリスクの比較的小さい点が魅力に映る。

八十二銀は昨年、三井住友銀行から大韓航空向け航空機融資債権を 買い取った。中国銀の真鍋氏も「まず既存債権の譲渡などやりやすいも のから手掛ける」と話すように、既に大手行の審査済みでリスクの少な い債権の譲渡を中心に展開する考え。今後、八十二銀は審査ノウハウな どでハードルの高い新規組成時からの融資参加も検討しているという。

また、公的な輸出信用機関(ECA)の保証が付くことが多い点 も、リスク軽減につながる。ボーイングから購入する場合は米国輸出入 銀行、エアバスから購入する場合は、欧州系ECAの保証が付く。邦銀 の相次ぐ参入で貸出競争は激化しており、村山氏は「最近はスプレッド も非常にタイトになってきた」と述べた。

邦銀マネーを物色

米国や欧州では、サウスウェスト航空とライアンエアーがそれぞれ ローカル市場の乗客数トップになるなどLCCが世界の航空市場をけん 引。三井住友銀行の国際統括部・渡部信一郎航空機金融室長は、航空機 需要は年5%で成長しているとし、その関連融資については「地銀も運 用難の中で参加し始めるなど、いま日本の金融業界で活況を呈してい る」と指摘する。

邦銀の潤沢な資金と旺盛な融資姿勢を取り込もうと、協調融資を取 りまとめる外資系金融機関も日本に注目。BNPパリバは昨年、地銀を 含む日本の金融機関向けに航空機ファイナンスセミナーを開催した。パ リバのピエール・ブリヨン氏は、「邦銀のプレゼンスは強く、日本市場 は活発になってきている」と話す。

アイルランドの航空機リース会社、アヴォロンのジョン・ヒギンズ 社長はブルームバーグのインタビューに対し、航空機ファイナンスに関 して「日本が世界で最も活発に出資している」と話す。同社長は年3、 4回は訪日し、邦銀や投資家、航空会社に足を運ぶという。昨年3月に は投資家セミナーを開催した。

ボーイング・キャピタルのアニール・パテル氏によると、航空機フ ァイナンスは米銀の独壇場だった1960-80年代を経て、80年代には邦銀 が台頭。日本のバブル崩壊で90年代以降は欧州系銀行が市場を席巻する など、時代とともに主要プレーヤーは移り変わってきた。2009-11年の 欧州債務危機以降、欧州銀がシェアを落とす一方、再び邦銀はシェアを 回復。同社の資料によると、12-13年の邦銀シェアは20%を上回った。

渡部氏は、三井住友FGが12年に買収したRBSの航空機リース部 門をテコに、銀行の融資機能だけでなく、リース、証券などの機能を組 み合わせ、海外金融機関との差別化を図るという。円建ての投融資商品 を用意するなど、「われわれは日本の投資家に合わせた商品をつくって いきたい」と述べた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE