東電社長:成長に向け新規投資、提携先と合算で2兆6700億円

政府から「総合特別事業計画」(再 建計画)の認定を受け、新体制で再建に取り組む東京電力の広瀬直己社 長はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、成長戦略としての電 力関連事業への今後の新規投資は、提携先や金融機関からの借り入れな どを合わせた総額で2022年までに2兆6700億円規模に達するとの見通し を明らかにした。

広瀬社長は18日午後、都内の本社でインタビューに応じ、原発事故 の賠償問題などを抱える電力会社として収益性向上が急務だとの認識を 示した。その上で、燃料となるシェールガス開発の新規案件などでは 「すでにいくつか話が来ている」と言及。天然ガス事業では2014年度中 にも1号案件の投資を決定したいと述べた。

メルトダウン(炉心溶融)を起こした福島第一原発事故からもうす ぐ3年。運転停止で代替燃料として石油、石炭、ガスの輸入が増えて発 電コストが上昇する中、東電ではいかに成長・増益策を遂行し、信用力 を回復していくかが課題となっている。再建計画では東電側が拠出する エネルギー資源権益などへの戦略投資額は7500億円になるとしていた。

東電の広瀬社長は事故に伴う信用力低下で調達コストが上昇してい る負債について、この再建計画を銀行団などに説明してあらためて協力 をすみやかに要請する考えを示した。私募債形式となっている銀行から の調達を予定より前倒しで融資に転換したり、公募社債の発行による調 達を2016年度中に再開したいとしている。

国のサポート

東電が15日に発表した再建計画によると、16年4月をめどに持株会 社制を導入、燃料火力・送配電・小売り部門で競争力ある事業展開を目 指す。改革の進展が評価されれば、国は保有する東電株の売却などを進 めて議決権比率を徐々に低め関与を弱めていく見通しだ。東電は計画で 成長投資向けに2兆円の融資を申請している。

岡三証券の山崎慎一アナリストは東電の新計画について、成長戦略 が盛り込まれたのは「国のサポートがかなり進んだためで評価できる」 と指摘。一方で、都知事選で争点の1つに浮上した脱原発や廃炉問題な ど「後ろ向きなこともしっかり」と同時に解決に向け取り組んでいくこ とが重要であるとの認識を示した。

安倍晋三首相は19日放送のNHK番組「日曜討論」(事前収録) で、事故を起こした福島原発の廃炉や汚染水対応について「東電任せに はせず国も前面に出て、判断すべきは決断して福島の復興を加速させた い」と語った。

国のエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」の策定 時期についての質問には「しっかりしたものを作りたい」と答えるにと どめた。また、考えていないとすでに表明している原発の新設・増設に ついては「大間や島根3号は新増設のうちには入らない」とも述べた。

米格付け会社ムーディーズは20日、東電の再建計画について「財務 的な負担を支援する政府のより強いコミットメントを示しており、信用 力上ポジティブである」と評価。ただ、「賠償、除染、廃炉などの費用 負担は多額で、今後さらに拡大する可能性がある」とし、新計画での利 益目標を実際に達成できるかどうかには懸念を示した。

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