中原元委員:日銀は追加緩和余地ある、マネタリーベース300兆円も

中原伸之元日本銀行審議委員は日銀 には追加金融緩和の余地があり、為替相場は年内に1ドル=115円程度 へ下落する可能性があるとの見方を示した。

中原氏は16日のブルームバーグとのインタビューで、日銀は4月の 消費税率引き上げによる国内景気への影響などを見極めた上で、「必要 があれば追加緩和をすると思う。量的・質的金融緩和を強化し、マネタ リーベースを300兆円程度へ拡大する余地はある」と述べた。

ドル・円相場については、一段の円安が必要とは思わないとしなが らも、「円は引き続き下落すると思う。105円を抜けたので、今年末ま でに115円程度に下げる可能性もある」との見方を示した。円は今月2 日に一時1ドル=105円44銭と2008年10月以来の円安・ドル高水準を付 けた。

日銀は昨年4月の金融政策決定会合で「量的・質的金融緩和」を導 入。2年程度を念頭に物価安定目標を早期に実現するため、マネタリー ベースおよび長期国債・指数連動型上場投資信託(ETF)の保有額を 2年間で2倍に拡大するとした。日銀が供給する通貨量を示すマネタリ ーベースの今年末の見通しは270兆円程度。

中原氏は、「デフレ心理を脱却したことは日本経済にプラスだと思 う。2%の物価目標達成は可能だ」と指摘した。一方、「賃上げは必ず しも必要ではなく後で良い。物価目標を達成するのが先だ」とし、幅広 い賃金上昇は日銀の2%物価目標の達成後に起きるとの見方を示した。

長期金利1%が上値抵抗線

今年の長期金利の見通しに関しては、「1%に上昇するかもしれな いが、1%は重要なバリア(上値抵抗線)になる」と指摘した。長期金 利は日銀が異次元緩和を発表した翌日の昨年4月5日に過去最低水準 の0.315%まで低下。その後は急反発し、同5月23日に1.00%と2012年 4月以来の1%台乗せとなった。足元は0.6%台後半で推移している。

日経平均株価の水準については、「株価収益率(PER)を考慮す ると1万5000円程度の水準が相当」と分析し、堅調地合いを持続するも のの、2万円を超えるには至らないとの見通しを示した。日経平均 は2013年の大納会に一時1万6320円22銭まで上昇。年間上昇率は57% と41年ぶりの大きさを記録した。

ブルームバーグ・ニュースの予測調査によると、2014年の米国の実 質国内総生産(GDP)は前年比2.8%増、日本は同1.6%増、中国は 同7.5%増がそれぞれ見込まれている。

中原氏は、日本経済は「消費税率が上がるので抑制されて、1.5% のプラス成長ぐらい」と見込む。さらに消費税率を15年10月に8%か ら10%に引き上げることについては、「経済状況をチェックする必要が ある。10%への引き上げが政治的に固定されているとは思わない。引き 上げできるか分からない」と語った。

米経済2-3%プラス成長か

一方、米国経済に対しては「まあまあではないか。フィスカル・ド ラッグ(財政緊縮による景気下押し)はなくなるが、新興国が弱いので その分だけ押し下げられる。今年は2-3%のプラス成長ぐらい」と予 想。「米量的緩和縮小は、中国経済に絶対に影響する。中国の経済成長 率は、国の予想より1%ぐらい下がると思う」と述べた。

安倍晋三政権の成長戦略に関しては、ロボット革命やエネルギー革 命の必要性を挙げ、「ロボットを雇って、社会保障費30兆円を半分に減 らすべき」だと述べた。

中原氏は1934年12月11日生まれ。57年東京大学経済学部卒業。59年 ハーバード大学大学院政治経済学修士。86年に東亜燃料工業代表取締役 社長、98-2002年に速水優日銀総裁(当時)の下で審議委員を務め、00 年8月には日銀のゼロ金利政策解除に反対票を投じた。02年に金融庁顧 問に就任。現在、アメリカ研究振興会理事長を務める。

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