GPIFの劇的変化は厚労省が回避、国内債中心不変-クレディS

年金積立金管理運用独立行政法人( GPIF)を所管する厚生労働省は、政府の有識者会議が昨年11月に出 した提言などを踏まえつつも、劇的な改革は避けるだろう-。クレデ ィ・スイス証券はGPIFによる国内債券中心の運用は変わらないと予 想する。

クレディS証の市川真一チーフ・マーケット・ストラテジストは15 日のインタビューで、厚生年金と国民年金の積立金124兆円を抱える世 界最大の年金基金であるGPIFは「安定的かつ効率的に運用しなくて はいけない。安全運用の考え方は変わらない」と述べた。安倍晋三首相 の官邸主導とあって「多少のお付き合い」は必要なので、株式への資金 配分増や若干の組織変更はあり得るとしながらも「マイナーチェンジ だ」と指摘。「外国人投資家の期待が大きい『大胆な年金制度の改革』 ではない」との見方を示した。

約200兆円に及ぶ公的・準公的資金の運用・リスク管理を見直す政 府の有識者会議(座長:伊藤隆敏東大大学院教授)は11月20日公表した 報告書で、政府・日本銀行が経済の活性化と2%インフレを目指す中、 GPIFは国内債に偏っている資産構成を見直す必要があると提言。 REIT(不動産投資信託)や不動産、インフラ、プライベートエクイ ティ(PE)、商品など新たなリスク資産、物価連動債への投資を検討 課題に挙げた。高度な運用を支える専門家の採用や合議制による意思決 定といった抜本的な組織改革も訴えた。

国債安定消化が心配

市川氏は「有識者会議の提言を受けて厚労省で議論していくだけで も半年から1年かかる。具体策は各省庁に委ねられており、ものすごく 大胆なことは起こらない」と予想。黒田東彦総裁が率いる日銀が月7兆 円超の長期国債を買い入れる量的・質的金融緩和を進める中で「今後心 配すべきは国債の安定消化だ」と述べ、GPIFが大量の国債を売ると 「日銀に一極集中する」と懸念した。

厚労省大臣官房の森浩太郎参事官(資金運用担当)は16日、ブルー ムバーグ・ニュースに対し「有識者会議の報告書は貴重な提言だ」と指 摘。12月5日の閣議決定などに従い、厚労省として「年金財政の観点か らもデフレ脱却を踏まえた経済における年金運用について、GPIFと ともに着実・迅速に検討・実施をしていきたい」と述べた。「経済成長 の果実を取っていくことは、結果的に年金受給者の福祉につながる」と も説明した。

GPIFの資産構成比率を規定する「基本ポートフォリオ」では国 内債が60%、国内株は12%、外債11%、外株12%。昨年6月に2006年度 の同法人設立から初めて変更するまでは67%、11%、8%、9%だった が、国内債を引き下げ、他の3資産を増やした。9月末の実績は国内 債58.03%、国内株16.29%、外債10.13%、外株13.49%だった。

厚労省は先月20日、GPIFが発行規模や市場動向を見ながら、4 月以降に物価連動債を購入する方針と発表。公的な機関投資家との共同 によるインフラ投資を検討しているとGPIFから報告を受けたことも 明らかにした。

来春に運用指針

GPIFの三谷隆博理事長は先月のインタビューで、政府が5年に 1度行う公的年金制度の財政検証の結果が今年2-3月に出る上、15 年10月に予定される厚生年金と各共済年金の統合を視野に、別の有識者 会議が来年3-4月に積立金の運用指針をまとめると説明。これを受け てGPIFなどが資産配分のモデルを作り、各年金基金が独自の運用方 針を定める段取りだと語った。

長期金利の指標となる新発10年債利回りは景気回復が進む中で も、17日の取引では0.665%と低位安定で推移している。ブルームバー グの調査によると、市場関係者は年末の10年債利回りを0.85%とみてい る。

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