【コラム】ジュニアバンカーが死ぬまで働かない世界-レビーン

米銀ゴールドマン・サックス・グル ープが金融危機以降、大きく評判を失墜させたという話を聞いても、他 の全ての銀行が右に倣えする様子からそれをうかがい知ることはできな い。

一つ例を挙げよう。しばらく前にゴールドマン・サックスの極秘の 研究所で、ジュニアバンカーを死ぬまで働かせないというコンセプトが まとまり、金曜日の午後9時から日曜日の午前9時までの間は出勤しな いようアナリストとアソシエートに指示が出された。

他の多くの大手銀行がその後、ジュニアバンカーのライフスタイル 工学を独自に考案し始めた。その中にはよく練られたプラン(JPモル ガン・チェースは月1回の自由な週末をアナリストに与えることで失わ れる仕事を埋め合わせるため、バンカーを追加採用)もあれば、出来栄 えが劣る例(バンク・オブ・アメリカ)もある。

スイス銀行2位クレディ・スイス・グループがゴールドマンよりも 自由時間を4時間増やし、賭け金を引き上げたことが13日に明らかにな った。同行はアソシエートに対し、金曜日の午後6時から日曜日の午 前10時までの間はオフィスを離れるよう通達した。

そつのないプラン

そつのないプランだが、細部に弱点もある。クレディ・スイスは社 内文書で、現在進行中の案件については「関係する全てのグループのジ ュニアバンカーが出勤する必要がある」と強調し、「日曜早朝の電話会 議は容認する。土曜日がオフでも送られた電子メールには返信しなけれ ばならない」としている。

ゴールドマンはこれに対抗するだろうか。銀行間で休日の拡大競争 が起きるだろうか。ジュニアバンカーはついには毎週3日間の週末のほ か、毎朝ジムに通う十分な時間が保証されることになるのだろうか。過 重労働で過剰な報酬を受け取る投資銀行バンカーの一般的なイメージ が、10年後には報酬はほどほどで、拘束時間も今よりずっと短い、いわ ゆる「バンカーの時間」を享受する人々というイメージに代わるのだろ うか。

そもそもジュニアバンカーが働きづめになる理由は何だろうか。自 分が献身的であり、チームと一体であることを示すために四六時中職場 にいるというのが一つの答えだ。だが、シニアバンカーに楽をさせると いうジュニアバンカーの存在理由も忘れてはならない。マネジングディ レクターの頭にいつ考えが浮んでも、やるべきことを何でもこなせるよ う常に待機していることをそれは意味している。

週末の過ごし方に関する新たな方針は、シニアバンカーの仕事の計 画性を高め、週末の午前2時ではなくウィークデーの間に仕事を終わら せる狙いも込められている。23歳のジュニアバンカーの週末を台無しに しないように木曜日の段階で作業計画に5分の時間を割けというわけ だ。

どうせ2年で辞めていく

投資銀行のカルチャー(企業文化)を変えるには、恐らく最下層か ら着手するのも方法だ。過重労働・過剰報酬のバンカーと報酬も士気も それほど高くないバンカーのリスク志向を比べた場合、どのような結論 が得られるだろうか。私が監督当局者の立場なら銀行の全ての行員に週 末の休みを義務付けることを検討するだろう。

アナリストを午後7時から翌朝7時まで働かせるとしても、バイス プレジデントやマネジングディレクターが日中働くニューヨークのオフ ィスに座らせておく必要は実際にはない。アナリスト全員をインドのバ ンガロールに異動させれば、それで済む話だ。アナリストやアソシエー トから昇格した新たな人材をシニアバンカーに迎えることは難しくなろ うが、それは今でも同じだ。悲惨な思いをした揚げ句、どうせ入社2年 で皆辞めていくのだから。(マット・レビーン)

(マット・レビーン氏は、ブルームバーグ・ビューのコラムニスト です。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

原題:Why Goldman Should Let Junior Bankers Sleep All Day: Matt Levine(抜粋)

コラムに関するコラムニストへの問い合わせ先: ニューヨーク Matthew S Levine +1-212-617-4954 mlevine51@bloomberg.net

コラムについてのエディターへの問い合わせ先: Matthew S Levine +1-212-617-4954 mlevine51@bloomberg.net

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