【クレジット市場】サントリー、ジムビームで二日酔い大丈夫か

サントリーホールディングスが米ビ ームを買収するという13日の発表は、やや冷やかに受け止められた。格 付け会社は格下げ方向で見直しを開始し、投資家は借り入れコスト上昇 を予言した。

サントリー債(表面利率0.74%、2017年償還)の国債に対する上乗 せ利回り(スプレッド)は14日、1.5ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)拡大し12.3bpとなった。ブルームバーグのデータによれば これは昨年10月30日以降で最大。バンク・オブ・アメリカ(BOA)メ リルリンチのデータによると、日本企業の社債の平均スプレッドは6年 ぶり低水準にあと1bpの28bpだった。

ムーディーズ・ジャパンと格付投資情報センター(R&I)は、サ ントリーがウイスキー「ジムビーム」などで知られるビームを総額160 億ドル(約1兆6700億円)で買収すると発表後、サントリーの信用格付 けを引き下げ方向で見直すと表明した。同社の格付けを「A3」とする ムーディーズは、この買収で債務が大幅に増えると指摘した。

フコクしんらい生命の林宏明取締役・財務部長は「どんなに適切な 投資であっても、これだけの規模で出てくると『ちょっとどうなの』と いう感じで様子見にはなる。額がかなり大きいので、いったんのリアク ションとしてはそうなる」と語った。

三菱UFJフィナンシャル・グループの銀行部門が100億-120億ド ルのつなぎ融資提供に同意したと、事情に詳しい関係者2人が14日、匿 名を条件に明らかにした。サントリーは買収代金について手元資金を充 てるほか、三菱東京UFJ銀行から調達する予定だと発表している。

社債発行の公算も

大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストは、サントリーが つなぎ融資を得てから社債を発行する公算を指摘し、起債規模によって はスプレッドが拡大するだろうと予想した。ブルームバーグのデータに よれば、サントリーの17年償還債のスプレッドは昨年末時点で10bp。

ムーディーズは調整後のサントリーの債務/EBITDA(利払 い・税金・減価償却・償却控除前利益)比率が約6倍となり、投資適格 級にふさわしくないレベルになると指摘。ただ、格付け判断に際して他 の要素も考慮するとしている。

ムーディーズのアナリスト、マリコ・セメトゥコ氏は14日の電話イ ンタビューで、「財務指標だけを見るのではない」として、「質的な要 素も考慮し、全てを総合的に見て判断する」と述べた。同氏によると、 サントリーの昨年9月末の手元資金は6430億円で歴史的に見て高い水準 だった。

サントリーの広報担当者は電話取材に対してコメントを控えた。

格下げの度合い

みずほ証券の高橋光佳クレジットアナリストはビーム買収がサント リーの2段階格下げにつながる可能性があると14日のリポートで指摘。 社債スプレッドは当面、拡大するだろうとも記述した。

R&Iは14日、サントリーと飲料子会社のサントリー食品インター ナショナルの格付け「AA-」をそれぞれ引き下げ方向で見直すと発 表。ビーム買収による財務負担が重いと指摘した。今後の資本政策など を見極めた上で、6月ごろとみられる買収完了をもって新たな格付けを 公表するとしており、ムーディーズも同様の方向だ。

日本の少子高齢化で、サントリーの佐治信忠社長は海外展開を迫ら れている。フコクの林氏は買収相手が「ビーム社であれば大きなリスク もないだろうし、ウイスキーの市場として米国を押さえておくというの は徐々に評価されていくと思う」と述べた。

原題:Billionaire Saji’s Jim Beam Deal Risks Hangover: Japan Credit(抜粋)

--取材協力:. Editors: Ken McCallum, Pavel Alpeyev

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