「鳥井商店」世界のサントリーへ、創業115年目で1.7兆円買収

1899年創業の同族経営の老舗企業が 本格的な世界市場進出に乗り出した。サントリーホールディングスは総 額160億ドル(約1兆6700億円)で、米ビーム社買収で合意。世界の蒸 留酒市場で3位の座に躍り出る。

「失敗を恐れず『やってみなはれ』、むしろなさざるの罪を問うこ とをモットーとしています」--創業した祖父の言葉を引いて、サント リーを志す若者に向けて佐治信忠社長が送るメッセージだ。米国で修士 号を取得、口ひげがトレードマークの佐治氏が2001年の社長就任以降、 同社はニュージーランド、フランス、英国などで買収を繰り返してきた が、最大の仏飲料会社でも約3000億円。今回は文字通り、桁違いだ。

飲料総研の宮下和浩取締役は、サントリーが同族経営だからこそ佐 治氏はグローバール化に向けての大きな決断をしやすかったという。今 回のビーム買収は、日本企業による海外企業の合併・買収(M&A)と しては、昨年完了したソフトバンクによるスプリント買収の216億ドル に次ぐ。

宮下氏は、佐治氏が「国内の他のビール会社の社長に比べて、グロ ーバル志向が強い」と見ている。「巨額の買収だったが、これだけ大き なものは自分がいるうちにと思ったのかもしれない」と述べた。佐治氏 は早ければ今年にも社長を退任する可能性を示唆している。

佐治氏は13日の発表資料で、「世界でも類を見ない強力なポートフ ォリオを持つスピリッツ事業が誕生することになり、グローバルにさら に大きく成長できることを確信しています」とコメントしている。「山 崎」や「響」などで知られる同社のウイスキー事業のラインナップに 「ジムビーム」「メーカーズマーク」などが加わる。

過去には共同買収を検討

サントリーは少子高齢化などで国内市場の成長余地が限られる中、 ビーム買収を以前から検討していたが、蒸留酒世界首位の英ディアジオ と共同での買収と、サントリー単独の両方が検討されていた。ブルーム バーグが12年12月に報じた。キリンホールディングスとの統合も模索し たが、破談に終わっている。

サントリー創業者の鳥井信治郎氏は1899年、大阪市に鳥井商店を開 業し、ぶどう酒の製造販売を始め、1924年には京都郊外に日本初となる モルトウイスキー蒸留所を建設した。調査会社ユーロモニターによる と、2012年のサントリーの世界の蒸留酒市場でのシェアは0.6%、ビー ムは1.4%。首位のディアジオは4.9%だ。

非上場企業のサントリーがグローバル市場で成長するために、課題 を指摘する声もある。いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役 員は「買収で大きな上場会社を買っている分、マネジメント面で変わる ことが必要」という。「米国の株主の方が国内よりアクティブ。マネジ メントは神経を使わざるを得なくなる」と述べた。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は「サント リーは内弁慶なイメージだったのが、世界に打って出てきた。グローバ ルで成長するにつれて、系列系ではなく外の人材も必要になってくる。 経営スタイルを変えていかなければならない」と述べた。

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