好成績ヘッジファンドに共通点、少ない籠に卵を盛れ-恐れるな

2013年10月11日、英政府は郵便事業 のロイヤル・メールを民営化した。新規株式公開(IPO)への関心は 個人、機関投資家ともに高く、活発な取引が行われたが、そこで大きな ポジションを積んだロンドンのヘッジファンド会社2社があった。

ランズドーン・パートナーズとザ・チルドレンズ・インベストメン ト・ファンド・マネジメントUKの2社だ。両社にとって、ロイヤル・ メールは良い投資先だった。株価は取引初日に38%上昇、1月9日時点 ではIPO価格を70%上回っていた。

この2社をはじめ、ロンドンを本拠に株式投資する幾つかのヘッジ ファンド会社にとって、13年は良い年だった。ブルームバーグ・マーケ ッツ誌2月号が報じている。ランズドーンの15億ドル(約1560億円)規 模のデベロップト・マーケッツ・ストラテジック・インベストメント・ ファンド(SIF)は13年1-10月の成績がプラス44.5%と、同誌の年 次番付で大型ヘッジファンドの欧州トップ、世界で4位に入った。

創業者クリストファー・ホーン氏(47)が率いるザ・チルドレン ズ・インベストメント(TCI)のファンド(運用資産73億ドル)はプ ラス39.7%で、同番付の世界5位と欧州2位。SIFは、ランズドーン の旗艦ファンドで89億ドルを投資するデベロップト・マーケッツからの 派生ファンド。両ファンドともスチュアート・ローデン、ピーター・デ ービーズ、ジョナソン・レジスの3氏が運用している。

これらのファンドは投資家だけでなくファンドの所有者らにも利益 をもたらした。ブルームバーグのデータによれば、ランズドーンの旗艦 ファンドは同社のマネジャーらに4億1300万ドルの利益をもたらし、ホ ーン氏とTCIのマネジャーらは4億9250万ドルを手にした。

ある共通点

好成績ファンドには欧州でも、米国と同様のある共通点がある。少 数の企業に大きな額を投資して利益を上げている点だ。ドイツが本拠の フェリ・トラストでヘッジファンドに10億ドルを投資するマルクス・ス トール氏は「13年のような上昇相場では、集中的に投資するファンドの 方が、例えば資産の1.5%ずつを各銘柄に投資するファンドよりはるか に有利だ」と話す。

ランズドーンの場合、13年は航空株と金融株への集中投資が奏功し た。投資家への報告書によれば、デベロップト・マーケッツとSIFは 両セクターにそれぞれ20%余りの資金を配分。同社のグローバル・フィ ナンシャルズ・ファンドは世界の銀行と金融機関に投資したという。

航空会社への投資では米デルタ航空株が13年中に2倍以上になった ほか、英・スペイン系のインターナショナル・エアラインズ・グループ (IAG)が10月31日までで88%上昇。アイルランドのライアンエア・ ホールディングスは29%値上がりした。ランズドーンが保有したJPモ ルガン・チェースやロイズ・バンキング・グループ、UBSなどの金融 株も、1-10月にロイズが62%上昇、出遅れたJPモルガンでも17%上 昇と好調だった。

物言うホーン氏

TCIのホーン氏は企業の株式を大量に購入し、その企業の経営陣 に株価上昇を促すような変革を迫る「物言う株主」として知られている が、事情に詳しい関係者によれば、保有株の上昇をこうした活動に頼る ことはない。同氏は、優良企業の株式を割安に購入することに集中する という。

TCIのパートナー、オスカー・フェルトハウゼン氏は、13年は 「10-12のコアポジションに集中した投資ポートフォリオを組んだ」と 話す。

その一つが航空宇宙大手のEADSだった。社名を今月エアバス・ グループに変更した同社が12年10月に英BAEシステムズとの統合協議 を打ち切ると、TCIはEADS株に投資。同銘柄は13年1-10月 に72%上昇した。

ホーン氏とTCIはロイヤル・メールのほかにも民営化銘柄に注目 している。ホーン氏は昨年10月31日のロンドンでの投資家会議で「政府 は企業の所有者としては最低だ。ありとあらゆる方法で経営を誤る。企 業は政府の手を離れ民営化されると変身するものだ」と語り、自身を含 め投資家は大きな利益を得られると付け加えた。

オーストラリアのクイーンズランド州政府が10年に民営化した鉄道 貨物輸送会社オーリゾン・ホールディングスも、TCIの保有銘柄の一 つ。同銘柄は13年1-10月に28%上昇。民営化以降の配当再投資を含め たリターンは100%を超えている。

集中投資はもちろん、失敗すればダメージも大きい。ランズドーン のデービーズ、ローデン両氏は昨年4月の投資家宛て書簡で「相当額 の」損失を被ったことを伝えた。英保険会社プルーデンシャル株の空売 りが失敗に終わったからだ。少なくとも09年1月から空売りしていた同 銘柄は13年3月までに170%値上がりし、ポジションを手じまうことに なった。それでも両氏は同書簡で同株は割高だと確信していると強調。 当局への届け出によれば、その後に再び空売りしたが、株価は3月半ば から10月末にかけて14%上昇した。

この投資の失敗は、株式市場に昔からある格言の正しさを証明して いる。それは卵は一つの籠に盛るなというものだ。籠を落とした際に被 害が大きくなるからだ。これらファンドは少数の籠に卵を盛ったわけだ が、やはりいずれかの籠では卵が壊れる運命にあった。

原題:Lansdowne Rides Big Airline Bet to Top Europe Hedge Fund List(抜粋)

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