【M&A潮流】サントリーの海外展開追求がビーム買収の動機

サントリーホールディングスが「ジ ムビーム」や「メーカーズマーク」などのバーボンウイスキーを主力と する米蒸留酒メーカー、ビームを高値で取得し、世界飲料業界で最も高 い伸びを示す分野への進出を決めたのは、海外販売増への強い追求姿勢 に基づくものだ。

サントリーはビームを総額160億ドル(約1兆6550億円)で買収す ることで合意した。ブルームバーグのデータによれば、買収価格に基づ くビームの時価総額は、同社の金利・税・償却前利益(EBITDA) の約20.5倍となり、過去10年間の蒸留酒業界の企業の合併・買収(M& A)で4番目に高水準となる。このためビーム株主から不満が出る可能 性は低い。13日のビームの株価終値は提示額の83.50ドルを8セント下 回る83.42ドルとなり、株主が同取引を承認する公算が大きいことを示 した。

サントリーは国内市場が少子高齢化の影響を受けるなか、海外販売 のてこ入れを図っている。ブルームバーグの集計データによれば、2011 年のサントリーの売上高のうち国内が約80%を占めた。ビームの売上高 の内訳は北米が約60%、欧州・中東・アフリカが約20%、アジア太平洋 と南米が約20%。

ブルームバーグがまとめたアナリスト予想によれば、ビームの売上 高は昨年の25億ドルから16年には約20%増加し、30億ドルに達する見通 し。

ブルームバーグ・インダストリーズのケネス・シェイ・アナリスト は電話インタビューで、「飲料業界で蒸留酒は最も動きが激しく、伸び ている分野だ」と発言。「今回の買収はそれを裏付ける」と指摘した。

「気前の良い価格」

エドワード・ジョーンズのアナリスト、ジャック・ルッソ氏は電話 インタビューで、サントリーの買収提示額は「かなり気前の良い価格 だ」と述べ、「極めて高い価格のため、他の買い手候補は事実上、締め 出された可能性がある。ビームのような単独企業はますますまれな存在 になっている」と説明した。

サントリーがビーム買収を検討したものの高い価格に尻込みし た2012年12月以来、ビームの時価総額は14億ドル増加したが、今回は買 収に踏み切った。ブルームバーグのデータによれば、サントリーの国内 販売の伸びは人口減少に圧迫されているが、世界のウイスキーなど蒸留 酒販売は17年まで年4.9%と、ワイン、ビール、炭酸飲料を上回るペー スで増加する見込み。

サントリーとビームは発表資料の内容以上のコメントを控えた。

ブルームバーグの集計データによると、買収価格に基づくビームの 時価総額の過去12カ月のEBITDAに対する比率は約20.5倍。04年以 降のワインや蒸留酒メーカー買収の同比率中央値は13.8倍だった。

ペルノ・リカール

事情に詳しい関係者によれば、欧州蒸留酒2位の仏ペルノ・リカー ルがビームに対抗買収案を提示する公算は小さい。

DAダビッドソンのアナリスト、ティモシー・ラミー氏は電話イン タビューで、「上限にかなり近い価格のようだ」と発言。「他の買い手 が現れることはないとわれわれはみている」と語った。

UBSのアナリスト、メリッサ・アーラム氏は電話インタビュー で、非上場企業であるサントリーはさらに上回る価格を提示できるた め、対抗買収案はEBITDA比率が20倍を「大幅に」上回る必要があ ろうと指摘した。

ブルームバーグ・ニュースは12年12月に、サントリーが酒造最大手 の英ディアジオと共同でビームに買収を提案することを検討していると 報じた。しかし当時のサントリー関係者は、ビームの株価が高過ぎるた め同社は買収を提案しないと述べていた。その時の株価は60ドルを若干 下回る水準だった。

原題:Suntory Overseas Thirst Drives Higher Beam Deal Value: Real M&A(抜粋)

--取材協力:Clementine Fletcher、Leslie Patton. Editors: Sarah Rabil, Beth Williams

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