円が反落、経常赤字などで売り先行-米景気警戒で下値は限定

東京外国為替市場では円が対ドルで 前日の海外市場で付けた約4週間ぶりの高値付近から反落した。日本の 経常赤字拡大や日本企業による米企業買収などを手掛かりに、円売りが 先行。ただ、米景気に対する警戒から日本株が大幅安となる中で、円の 下値は限られた。

円は対ドルで1ドル=103円ちょうど付近から一時103円53銭まで下 落。午後には日本株が下げ幅を拡大するのに伴い、リスク回避の動きが 強まり、円は下げ渋る展開となった。午後3時45分現在は103円35銭前 後で推移。前日の海外市場では、米雇用統計が市場予想を下回ったこと をきっかけに円買い・ドル売りが強まった前週末の流れを引き継ぎ、一 時102円86銭と昨年12月18日以来の水準まで円高が進んでいた。

上田ハーロー株式会社外貨保証金事業部の山内俊哉氏は、東京市場 ではサントリーの米企業買収の話や、102円台でのドル買い意欲によ り、ドル・円は103円台に戻して推移したと説明。しかし、「肝心要の 米雇用統計」で低調な数字が出たことで、「今後発表される米国の指標 で良い内容が出てこないと、ドルを積極的に買っていくのは難しい」と 語った。

円は対ユーロでも前日の海外市場で一時1ユーロ=140円50銭と 同12月6日以来の高値を記録。この日の東京市場では一時141円48銭ま で売られた後、下げ渋り、同時刻現在は141円25銭前後で推移してい る。

一方、ユーロ・ドル相場は前週末に一時1ユーロ=1.3687ドルと約 1週間ぶりの水準までドル安が進行。その後は1.36ドル台後半を中心に もみ合う展開となり、この日の東京市場では1.3656ドルから1.3673ドル のレンジで推移した。

経常赤字

日本の昨年11月の国際収支では、経常収支が5928億円の赤字となっ た。赤字額は比較可能な1985年以降で過去最大となり、市場予想も上回 った。

三菱東京UFJ銀行米州金融市場部マーケティンググループのマネ ジングディレクター、村尾典昭氏(ニューヨーク在勤)は、巨額の貿易 赤字を背景にベースの需給が円売りに傾いているため、「かつてのよう な超円高相場には戻らない」と指摘。もっとも、巨額の円売りポジショ ンがたまっている状況で、「何かをきっかけに円の買い戻しの方により エネルギーが高まりやすい」と指摘していた。

米商品先物取引委員会(CFTC)によると、シカゴマーカンタイ ル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)で、ドル・円先物取引非商 業部の円の売り越し幅は7日時点で12万8868枚だった。14万3822枚 と2007年7月以来の最大を記録した昨年12月24日時点から2週連続で縮 小したものの、依然10万枚を超える高水準にとどまった。

一方、ウイスキー、ビールメーカーのサントリーホールディングス は13日、米ビーム(イリノイ州ディアフィールド)を総額160億ドル (約1兆6550億円)で買収することを発表した。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、「買収額が大き いといった印象がある。まだ為替への影響は分からないが、ソフトバン クの時はドル高に行った」と語った。

米小売売上高、地区連銀総裁講演

ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、この日発表 される米国の12月の小売売上高は前月比0.1%増加(予想中央値)する 見通しとなっている。11月は同0.7%増と5カ月ぶりの大幅な伸びを記 録。前週末発表された12月の米雇用統計では雇用者の増加が11年1月以 来の小幅にとどまり、米国経済に対する楽観が後退した。

上田ハーローの山内氏は、米雇用統計は天候の影響が強かったとさ れており、小売売上高に対してもネガティブな見方が出ていると指摘。 さらに、米国時間にはタカ派の地区連銀総裁の講演が予定されており、 「指標が弱い中で強気の発言が出てしまうと、株にとってはよろしくな い」とし、株価の調整を背景にドル売り・円買いが進む展開もあり得る と語った。

この日講演するフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁とダラス連 銀のフィッシャー総裁は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)での 議決権を有する。FOMCは先月、1月から債券購入額を毎月850億ド ルから750億ドルに縮小すると発表した。

14日の東京株式相場は大幅反落。日経平均株価は午後に下げ幅を拡 大し、一時は500円を超える値下がりとなった。

--取材協力:三浦和美,大塚美佳. Editors: 青木 勝, 崎浜秀磨

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