【米経済ウオッチ】12月雇用統計の明暗、景気循環の山を暗示

12月の雇用統計は注目の非農業部門 雇用者数の伸びが7万4000人と急減速し、景気拡大ペースの加速を見込 んでいた市場関係者を驚かせた。まず注目すべきは7万4000人増の内訳 である。

ヘッドラインと呼ばれる市場が最も注目する非農業部門の雇用者数 は予想を大きく下回ったため、雇用のペース低下が寒冷気候という特殊 要因で片づけられてしまったからだ。項目別に見ると、最大の雇用増を 記録したのは小売業だった。なぜ、小売業は寒冷気候の影響を受けない のかという疑問が湧く。

寒冷気候で降雪に見舞われれば、客足は当然遠のく。小売部門は寒 冷気候の影響を最も強く受ける項目の一つである。その影響を跳ねのけ て、12月の同項目の雇用は5万5000人増と前月の2万2000人増の倍以上 の伸びを記録している。つまり、寒冷気象の影響は市場参加者が考えて いるほど大きなものではないのである。心理学によれば、人々は自らの 期待に反する事象を無視する傾向がある。経済統計に対する反応もその 例外ではない。

ブルームーバーグ・ニュースが統計発表前にまとめたエコノミスト の予想中央値は19万7000人増だった。発表値は最も悲観的だったエコノ ミストの10万人増さえ下回ってしまった。予想を外した多くのエコノミ ストらは、寒冷気候という特殊要因を必要以上に重視することになる。 こうして寒冷気候で統計全体を片づけたため、細目の変化も視野の外に 置かれてしまった。

在庫増で売り急ぎ

年末年始は米国の小売業にとって稼ぎ時である。特に昨年はブラッ クフライデーと呼ばれる11月の感謝祭後のセールの売り上げが伸び悩ん だため、大手百貨店はクリスマスにかけて数日間にわたり、24時間営業 で挽回を狙っていた。当然、雇用は急拡大する。

この小売部門の売り急ぎは在庫整理の側面があり、景気循環の最終 局面を暗示している。前回の景気後退局面では2007年11月に小売り雇用 がピークを付け、その翌月には景気の山を形成していた。

前々回の景気後退は2001年3月に始まっているが、小売り雇用はこ のときも景気後退入り1カ月前にピークを付けていた。2013年12月の小 売り雇用も、2009年6月に谷を経過した後の景気拡大局面で最高水準に 輝いている。この輝きは景気の山の接近を告げているのかもしれない。

住宅建設は雇用増、土木業は連続減

一方、寒冷気候のせいにされている建設業の雇用減少も、実体経済 の動きが反映されているのではないかと疑問を持って精査すると、天候 だけでは説明し切れない動きが浮かび上がってくる。建設業全体では1 万6000人の雇用が失われているが、住宅建設項目は4800人増と前月 の1500人増から3倍以上の伸びに加速していた。これで天候要因が軽微 なことが理解できる。

減少したのは商業ビル建設や土木工事部門である。特に土木工事部 門は12月に8800人も減少、前月の1000人減からさらに切り込まれた。同 部門はこれで3カ月連続マイナスである。土木工事の雇用者数は2013年 2月の89万8000人が、今回の景気拡大局面でこれまでのところのピーク となっている。

土木工事の雇用者数は前回の景気循環では2007年7月と、景気後退 入り6カ月前にピークアウトしていた。

(米経済ウオッチの内容は記者個人の見解です)

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