ドラギ氏のユーロ防衛宣言になお効力-改善の兆候相次ぐ

今年に入ってドラギ欧州中央銀行 (ECB)総裁にはようやく喜べる理由が見つかった。

ユーロ防衛のため「必要なあらゆる措置を取る」とドラギ総裁が表 明してから1年半たち、ロンドンでのこのアドリブ発言に依然大きな効 力があることを示す兆候が表われつつある。

ドラギ総裁がもたらした信頼感は、ユーロの存続を脅かした金融危 機の収束に寄与。一時はユーロの将来に悲観的だったノーベル経済学賞 受賞者のポール・クルーグマン氏や経済学者ヌリエル・ルービニ氏もユ ーロ圏を回復させたドラギ総裁を称賛する。

2011年11月にユーロ圏の崩壊は「いまや十二分に考えられる」と述 べていたクルーグマン氏は今月9日のコペンハーゲンでのインタビュー で、「欧州情勢の緩和でECBが決定的な役割を果たしたことは明白 だ」と指摘。「ドラギ総裁がその大半を行った」と語った。

ユーロ圏への楽観的な見方を裏付ける出来事がこのところ相次い だ。アイルランドは3年間の国際的な救済プログラムからの脱却後初と なる国債発行を今週実施。ポルトガルに加えてギリシャさえも近く国債 市場に復帰する可能性が出てきた。スペイン10年債利回りは一時、09年 以来の低水準となった。今週、ストックス欧州600指数は約5年ぶりの 高値に達した。

ユーロ圏経済は13年4-6月期に過去最長のリセッション(景気後 退)から脱した後、回復を続けており、各国政府は予算削減を緩めつつ ある。今週発表された経済指標では昨年11月のユーロ圏小売売上高指数 が08年以来の大幅上昇となり、12月のユーロ圏景況感はエコノミスト予 想を上回る改善を示した。さらに今月1日にラトビアが欧州単一通貨ユ ーロを導入、ユーロ圏は18カ国体制となった。

ドラギ総裁は9日のフランクフルトでの会見で記者団に対し、「景 況感が比較的長期にわたり持続してから勝利宣言をしたいとわれわれは 考えている」と発言。「情勢は若干改善しているようだ」と述べた。

リスク残る

しかしドラギ総裁が経済への「下振れリスク」は残っていると念入 りに指摘するように、ユーロ圏の将来には不安要因もある。

ECBは今年の成長率を1.1%と予想。12月のインフレ率は0.8% と、物価安定の目安の半分未満だ。物価はギリシャやポルトガルのほ か、ラトビアやキプロスでも下がっている。ユーロ圏の失業率は過去最 高の12.1%。

今後ECBは銀行に融資を促すため、翌日物中銀預金にマイナス金 利を課すことなどに着手する可能性がある。さらに米国のような資産購 入プログラムの導入もあり得るとみられる。

原題:‘Whatever It Takes’ Still Working for Draghi as Euro Revives (1)(抜粋)

--取材協力:Saleha Mohsin、Peter Levring、Scott Hamilton、James G. Neuger. Editors: James Hertling, Paul Gordon

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