ドラギECB総裁:低金利維持のガイダンス強化-必要なら行動

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総 裁は9日、必要な限り低金利を維持するとした同中銀のガイダンスを強 化した。ユーロ圏の危機が去ったと考えるのは尚早だとくぎを刺した。

ドラギ総裁は政策決定後の記者会見で、「政策委員会は緩和的な金 融政策姿勢を必要な限り維持することをしっかりと強調する」と述べ た。ECBは短期金利の調節手段である短期買いオペ(売り戻し条件付 き債券買いオペ=レポ)の最低応札金利を過去最低の0.25%で据え置い た。

株価や債券相場が上昇し、アイルランドとポルトガルが債券市場に 復帰するという改善が見られる中でも、ドラギ総裁はユーロ圏債務危機 の終息宣言を拒否している。12.1%の高失業率の下で成長には勢いがな い上に、米国の金融緩和縮小に伴う市場金利上昇の脅威もある。

総裁は「景気回復は輸出のみに頼った成長から徐々に内需へと広が りつつあるが、勝利宣言をするのは時期尚早だ」と述べた。

主要政策金利の据え置きは、ブルームバーグ・ニュースの調査に答 えたエコノミスト51人全員が予想していた。ECBは中銀預金金利と限 界貸出金利もそれぞれゼロと0.75%で据え置いた。

ドラギ総裁の発言中にユーロは下落。会見開始時の1ユーロ =1.3614ドル前後から一時は1.3549ドルまで下げた。

追加行動の準備強調

BNPパリバのユーロ圏市場チーフエコノミスト、ケン・ワトレッ ト氏は「ECBはこの日、極めて緩和的な金融政策を維持することの重 要性を非常に強く強調した。断固とした追加行動の用意があることも強 調した」とし、「不安なほど低いインフレ率と下振れリスクが顕在化す る可能性についてECBが引き続き懸念していることを示すものだ」と 話した。

ドラギ総裁によれば、会見冒頭の「より強い文言」は「必要とあら ば行動する決意をあらためて表明する」もの。「しっかりと強調」とい う文言は前月の声明には含まれず、フォワードガイダンスを「断固とし て」繰り返すという表現も新たに加わった。

総裁の発言は、ユーロ圏経済の脆弱(ぜいじゃく)な回復がとん挫 するリスクが去っていないことを示した。ドラギ総裁はECBの追加利 下げを促し得る要因として2つのケースを指摘。「一つは短期金融市場 の根拠のないタイトニング、もう一つはインフレに関するわれわれの中 期見通しの悪化だ」と述べ、「今回のガイダンスのより強い文言は、こ れに対処するものだ」と説明した。

ユーロ圏のインフレ率は昨年12月に0.8%となり、ECBが目安と する2%弱の水準を11カ月連続で下回った。ただドラギ総裁は、ユーロ 圏が日本のようなデフレ期に向かっているとの見方は否定し、欧州で進 んでいる銀行同盟の計画が信頼感を高めると指摘した。銀行同盟の第一 歩として、ECBは11月に銀行監督の責務を担う。これに備えてECB は3段階から成る銀行の審査を進めていく。

--取材協力:Jeff Black、Kristian Siedenburg. Editors: Paul Gordon, Zoe Schneeweiss

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