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新関空:GPIFにも期待、運営権売却で-最大1.2兆円規模の投資

新関西国際空港は来年度、民間資金 を活用した社会資本整備(PFI)の一環として、保有する2空港の運 営権売却に向け、入札を実施する。最大1兆2000億円規模の大型案件 で、同社は買い手候補として、経験豊富な海外インフラファンドに限ら ず、国債偏重投資からの脱却を検討する年金積立金管理運用独立行政法 人(GPIF)など国内勢の参加も期待している。

新関空執行役員の岡田信一郎コンセッション推進部長は、傘下の関 西国際空港と大阪国際空港の民営化は国内投資家に対しても「インフラ というミドルリスク・ミドルリターンの新しいアセットクラス」を提供 できると強調。中でもGPIFは買い手に「なりうると思う。ふさわし い」との考えを示した。同氏は豪マッコーリーキャピタル証券や経営共 創基盤(IGPI)などでインフラ投資と再生案件に携わってきた。

政府は日本再興戦略の中で今後10年で12兆円のインフラ民営化を計 画。経済活性化や公的債務の削減が狙いで、中でも新関空は空港民営化 としては世界的にも大規模案件だ。関西国際空港は大阪湾を埋め立てて 開港したため、グループ全体で1.2兆円もの負債を抱えており、運営権 売却で債務を解消したい考え。また、民間の創意工夫で国際線誘致や訪 日外国人の増加を図り、経済発展につなげる狙いもある。

一方、厚生年金と国民年金の積立金124兆円を運用する世界最大の 年金基金であるGPIFは、運用の多様化に向けて、海外公的年金基金 と提携し、インフラファンドへの投資を検討していることを明らかにし ている。GPIF広報担当の平尾智之氏は、新関空傘下空港の民営化に ついて「投資行動に関する個別案件に対するコメントはしない」と述べ た。

インフラ投資の妙味

岡田氏は、日本のインフラ投資をめぐる金融環境は、カネ余りによ る金利低下や官民連携インフラファンド創設などの下支えがあるとし、 「レバレッジをかけてリターンを上げていくことのできる非常にいい環 境」と強調した。東京証券取引所の計画する上場インフラ市場創設も投 資後の出口につながり、側面支援につながるとの見方を示した。

世界的なインフラ投資家の求める投資リターンは10-15%と高い。 新関空は現行の中期経営計画(12-14年度)期間中にEBITDA(利 払前税引前減価償却前営業利益)を1.4倍に増やす計画で、初年度の12 年度は目標をクリアしている。

同氏はまた、同じインフラ投資でも空港は道路よりも収益性が高い と指摘。「道路は内需型」のため、地域利用者人口の増減に左右される のに対し、「空港は外需型」であり、国際線の誘致次第で収益が上がる と話した。

世界の投資家

岡田氏は、今回の案件の買い手候補について、資金面だけでなく、 事業運営を勘案すると「外国の知恵を一部使わないといけない」とも述 べ、日本と海外のコンソーシアム形成が考えられるとした。GPIFは 資金の出し手候補として注目しているという。

GPIFをめぐっては、金利上昇懸念がある中で、政府の有識者会 議が国債に偏った資産構成を見直し、リスク資産への投資を検討するよ う提言。同会議の座長だった伊藤隆敏・東大大学院教授は、ブルームバ ーグとのインタビューで、インフラ投資について、アジアでは何十兆円 も必要との試算があるとし、「海外に目を向ければものすごいチャンス がある」と指摘した。

海外では、カナダのオンタリオ州教職員年金基金が昨年、インフラ など実物資産への投資で年13%の投資利回りを記録した。事業運営能力 も備えたグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ( GIP)のようなインフラファンドのほか、ブラジルの空港に投資した チャンギ空港(シンガポール)のような空港自体も実績がある。

五輪の追い風

岡田氏によると、チャンギ空港の年間利用者数はシンガポール人口 の10倍の5000万人、韓国・仁川空港は周辺住民の2倍の4000万人に対 し、新関空は1400万人と、近畿圏の人口約2000万人を下回る。アジア諸 国の中間層を呼び込むため、格安航空会社(LCC)の路線開設を進 め、ハブ機能を狙いたいという。

20年の東京五輪開催や和食のユネスコ無形文化遺産認定について、 同氏は「世界で日本の興味レベルが上がるのは大きい」とし、空港売却 にも追い風に働くと話す。実際、来年のサッカーW杯や16年五輪が行わ れるブラジルの空港運営権売却で、チャンギ空港連合が最低入札価格の 4倍の190億レアル(8500億円)で落札している。

--取材協力:野沢茂樹、下土井京子 Editors: 持田譲二, 淡路毅

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