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元カーライル吉崎氏、官民ファンドでクールジャパン1000億円投資

日本文化の海外発信に向け、官民フ ァンドの「クールジャパン機構」がこのほど発足した。米投資ファンド のカーライルでアジア企業への投資を手掛けてきた吉崎浩一郎氏を運用 担当に招き、ユネスコ無形文化遺産の登録準備が進む「和食」を始め、 日本文化やライフスタイルを体現する企業の海外展開を支援する。

吉崎CIO(最高投資責任者)は、ブルームバーグ・ニュースのイ ンタビューに応じ、「食、コンテンツ、ファッションは重点領域」と指 摘。アジアで日本食店を集めた「ジャパンモール」やアニメ、ドラマ、 音楽などのコンテンツを流すため米国など海外のテレビチャンネルや放 送枠の購入なども検討していることを明らかにした。年度内に投資部門 の人員を現状の10人から30人に拡大するという。

同ファンド(正式名称:海外需要開拓支援機構)は政府出資500億 円に加えて、電通やみずほフィナンシャルグループなど15社からの民間 出資(計75億円)も仰いだ。1-2年内に1000億円への拡大を目指す。

安倍政権は、成長戦略の一環である「日本再興戦略」で、クールジ ャパンの推進などにより、2030年に訪日観光客3000万人という目標を掲 げており、官民ファンドを立ち上げた。日本文化の良さを浸透させて、 海外観光客を誘致し国内消費を盛り上げたり、日本企業の海外進出を促 し、新興国の旺盛な需要を取り込んだりするのが狙いだ。

じくじたる思い

同ファンドの運用責任者として、白羽の矢が立った吉崎氏は、 LBOなどを手がけるカーライル出身だが、新しい職場では効率性を追 究するファンドとは「全く逆のことをやる」つもりだと話す。

カーライルのような民間ファンドは投資家重視のあまり、短期間で 事業の売却益を上げる結果、「資本家が移動して、せっかくまいた事業 の種が育たないことがある」という。これに対し、同機構は国の出資が 8割を超える国策ファンド。同氏は「長期の時間の許しはいただいてお り、支援したビジネスをうまく立ち上げる」ことに専念する構えだ。

カーライル在籍当時は、日本企業は他のアジア企業に比べて収益性 が低いとして、ファンドの投資先候補から落とされ、同氏は「じくじた る思いをした」が、日本企業も成長力のある海外市場で展開できれば、 高成長が期待できるとみる。問い合わせを待つのではなく、「案件を取 りに行く」と意気込みを示した。

リスクマネー

クールジャパン機構の設立に関わってきた経済産業省の資料による と、同機構の投資対象は投融資をなかなか受けられない中小企業やベン チャー企業が想定されている。

銀行のBIS規制強化の流れもあり、吉崎氏は「未上場企業や中堅 中小企業は資金調達の手段がどんどん限られている」と指摘。同機構は 金融機関に代わり、リスクマネーを供給する意義があるとしている。

アベノミクス効果の恩恵を受けている大企業向け融資は9月末時点 で9四半期連続で前年同期比増えているのに対し、中堅・中小企業向け 融資は約6年ぶりにようやくプラスに転じたばかり(日銀調べ)。預貸 ギャップは6月に過去最高の189兆円を記録した。

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